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ギシュ! ギシュ! ギシュ! ギシュ! ギシュ! ギシュ! ギシュ! ギシュ! (細かい跳躍を繰り返す・・・。) ギシュ! ギシュ! ギシュ! ギシュ! ギシュ! ギシュ! ギシュ! ギシュ! (機械音・・・。) ギシュ! ギシュ! ギシュ! ギシュ! ギシュ! ギシュ! ギシュ! ギシュ! ギシュ! (その音の主、『鷲鼻のバトゥロ』。) ー とても・・・。とても『青い男』であった。 先が鋭く。下に曲がった鼻を持ち。 青い外套を身に纏(まと)い。 静謐(せいひつ)を覚える、顔立ちをし。 年月(としつき)を感じる、皺(しわ)が刻み込まれ。 整った頭髪と。整った顎髭(あごひげ)と。 髪が青くて。顎髭(あごひげ)も青くて。 眉も青い。 ー アップライトスタイル 体を真直ぐにし、拳を構える戦闘スタイルを取り・・・。 目前の黒服の男。 『耐撃の百文字』と相見(あいまみ)える。 グ ・・・ッッ!! (百文字が・・・!) グッ グググ グ・・・ッッ!! (両の腕を広げるッッ!!!) ー それは、黒づくめの男であった。 スーツだって黒いし・・・。 靴も黒い。帽子も黒い。手袋も黒い。 色素の薄い肌が、その黒を際立たせ。 黒づくめのその姿が、岩を人型にくり抜いたようなその巨体と顔に映える。 鷹(たか)や鷲(わし)を連想させる猛禽類のような目を持ち。 『油臭(ガソリンしゅう)』と『機械音』がするその男。 ー ストロングスタイル 日本国不世出の大プロレスラー・『猪木寛至(本名)』が提唱した『実力主義のその信念』に基づいて・・・。 目前の青服の男。 『鷲鼻のバトゥロ』を、睨(ね)みつける。 生(い)きている・・ッ。 生存(い)きていると・・ッ。 そう信じ疑う余地すら無かったぞ、鷲鼻の・・ッッ。 貴様ほどの男が、あの痴れ者(ドクトル・ベイベー)の動乱の最中(さなか)ッ! 組織用無し(シークレットペニス)の令の中、死に絶えるハズが無いとな・・・ッッ!! 『 鷲 鼻 の バ ト ゥ ロ ・ ・ ・ ッ ッ ッ ! ! ! 』 この度の(立体)映像騒ぎッ! さも、あの痴れ者(ドクトル・ベイベー)の仕業(イタズラ)の如く振舞っておったがッッ!! あの青文字ッ! 忌々しきはその響き『シークレットペニス』と言い放つのではなくッッ!! 貴様が承(うけたまわ)ったであろう『ギガント破壊指令』と言い放ったその事柄が全てがッッ!!! 『 ドクトル・ベイベーの命を受けッ! 』 『 尊 敬 の 念 を持ちて ッ ! 遂行をしている 貴様の仕業 であると 窺(うかが)い知れたぞ ッ ッ ! ! 』 貴様が何を想いッ! 如何なる動機(りゆう)で、あの痴れ者(ドクトル・ベイベー)に付き従うかは知らぬッ!! だがな、鷲鼻のッッ!! 『 生まれた日は違えどもッ! 』 『 共にQX団の名の下に、数々の悪事に手を染めて来た、互い互いであるッッ!! 』 ならば、鷲鼻のッッ!! 『 仇為す事、美徳とすッ! 反 逆 的、尊 厳( デ ィ ガ ナ チ ィ )の 名 に 置 い て ッッッッ ! ! ! 』 『 滅し、失われるまで、荒れ狂う事のみが、 相 応 し い ッッッ ! ! ! ! ! 』 そうだ、耐撃の・・・っ! 願わくは闘争っ。誇り高き決着っ。 然れども、その誇り『流血にて残酷っっ!!』 退廃的にて・・・っ。破滅的な『その思考っっ!!』 『 其処に・・・っ!! 』 『 美しいモノなど、何も無い・・・っっ!! 』 だがな、耐撃のっ! 例え其処に、美しいモノが何も無くともっ!! 私は尊敬の念を持って、この決着を『 捧げようっっ!!! 』 一人は、貴殿の為っ。 二人は、あのお方の為っ。 そして・・・。 『 もう一人・・・ッッ!!! 』 ギシュ!! ギシュ!! ギシュ!! ギシュ!! (跳躍の間隔が・・・ッ!) ギュ!! ギュ!! ギュ!! ギュ!! ギュ!! ギュ!! ( 狭 ま る ッ ッ ! ! ) そうっ。 その『もう一人っっ!!』 その『もう一人とは・・・っっっ!!!!』 ーーー 『 俺 は 、 強 く 生 き る ン だ っっっ !!!! 』 「名無しの新兵(ルーキー)」 ーーー 貴公(その、もう一人)の為ならばっ! この鷲鼻のバトゥロ、粉微塵になろうとも悔いは無いっっ!! ーーーそして、鷲鼻のバトゥロはっ。 「 『 加 速 装 ォ ォ オオ オ 置 ッ ッ ! ! ! ! ! 』 」 ーーー『カチリ』と物音一つを立ててっ。 ーー己に奥歯に内蔵されているっ。 ーーー『加速装置』の起動ボタン(スイッチ)を、舌で押したっ。 「 『 四 次 元 ビ ジ ョ ン ッ ッ ッ ッ ! ! ! ! ! ! 』 」 ーーードォ ン ! ! ーー鷲鼻のバトゥロがっ! ーーー加速領域(常人超えた速度感覚)に達するっっ!! ー 故にバトゥロの『その視界』は・・っっ!! キィーン キィーン キィーン 「『止まって見えるな、耐撃のっ!!』」 キィーン キィーン キィーン 「鍛練重ねし『 四次元ボクシング 』っっ!!!」 キィーン キィーン キィーン キィーン キィーン キィーン キィーン 「『 畏 怖 』、値するか否か、味わって頂こうぞ、耐撃の百文字ぃぃいいーー っっっ ! ! ! ! 」 ー ヒュン 風切る音がしたっ。 ー ヒュン ー ヒュン ー ヒュン ー ヒュン 幾重にも、それが重なり響くっ。 ー ヒュン 幾重にもっ ー ヒュン 幾重にもっ ー ヒュン 幾重にもっ ー ヒュン 幾重にもっ! ー ヒュン 幾重にもっ!! ー ヒュン 幾重にもっ!!! ・ ・ ・ ・ ・ 重なり合ったその音々(おとおと)は。 あたかも、もう一つの『次元』であるかのように、其処に存在をしていた。 そう。 まるで『 四 次 元 』のように・・・ッッ!!! ○クロガネの賛歌・第3章 ー ギ ガ ン ト 破 壊 指 令 ー 第2話「 四 次 元 ボ ク シ ン グ 」 『 四 次 元 ・ 拳 闘 術 ( よ じ げ ん ・ ボ ク シ ン グ ) 』 QX団製サイボーグ・鷲鼻のバトゥロが編み出した、独自の戦闘スタイルッ! 内蔵された『加速装置』を起動させ、高速移動を繰り返し『風切り音』が幾重に重なり合うその様を、 我々が住むこの世界『三次元』の枠を飛び越えたもう一つの次元ッ! 『 四 次 元 』と例えられる、『 ボ ク シ ン グ 殺 法 』 で あ る ッ ッ ! ! 超高速で行われる数々の拳撃は、正に驚異ッ! 『次元を超えた 拳 闘 術 』であると言われるが・・・ッ! だがッ! それだけでは『 四 次 元、 足 り え な い ッ ッ !!! 』 ヒュン! ヒュン! ヒュン! ヒュン! ヒュン! 「とくと味わって頂くぞ、『 四 次 元 世 界( ワ ー ル ド ) ッ ッ ! ! 」 「 『 ちぇりぃぃいいいぁぁぁあああ あ あ あ あ ああああ ーーーー ー ー ー ッ ッ ッ ! ! ! 』 」 ド ォ ォ オ オ オ オ オ オ オ オ オ ン ( 更に超加速ッッ!!! ) ヒュバッ! ヒュバッ! ヒュバッ! ヒュバッ! ヒュバッ!(更に加速をしたバトゥロはっ。) ヒュバッ! ヒュバッ! ヒュバッ! ヒュバッ! ヒュバッ!(百文字を中心に・・・っ。) ヒュバッ! ヒュバッ! ヒュバッ! ヒュバッ! ヒュバッ!(『円』を描くっっ。) ヒュバッ! ヒュバッ! ヒュバッ! ヒュバッ! ヒュバッ!(半径は10mっ。) ヒュバッ! ヒュバッ! ヒュバッ! ヒュバッ! ヒュバッ!(描かれる円は、二次元の『丸』では無くっ。) ヒュバッ! ヒュバッ! ヒュバッ! ヒュバッ! ヒュバッ!(宙空を跳躍する事により、描かれた・・・っっ。) ヒ ュ ッ ッ ッ ツ ツ バ ァ ァ ァ ア ア ア ア ア ーーーーーー ッッッ!!! ( 『 半 球 っっ 』 ) 百文字を中心とする、バトゥロが描き続ける『半球』は・・・っ。 重なり合う『風切り音』と。 描かれ続ける『半球』とで・・・。 外界から閉ざされた『密閉空間』を作り出し・・・。 あたかも。 もう一つの『次元』であるかのように、其処に存在をしていた。 だが。 それだけでは『 四 次 元、 足 り え な い ッ ッ !!! 』 百文字は動かなかった。 否(いいや)。 動く事が出来なかった。 ヒィユゥウウウウウウウウウウウウウウウウ(超高速で動き続ける『鷲鼻のバトゥロ』に・・・。) ゥゥゥゥゥゥウウウウウウウウウウウウ(『半球内』の空気が『吸い寄せられ続ける。』) ウ ウ ウ ウ ウ ウ ウウ ウ(徐々に『真空』へと近づく『球内』。) ウ ウ ウ ウウウ(それは、さながら・・・。) ウ ッ ッ ツ ツ ヒ ィュ ゥ ゥ ウ ウウ ウ ーーーー ッッッ !!!!(『マグデブルグの半球』のように。) 〇「 マグデブルグの半球 」 物理学者オットー・フォン・ゲーリケ(1602~1686)が行なった大気圧を示す実験。 縦に二つに割ったメロン程度の大きさの『金属製の半球』を、すきまなく接合をし、ゲーリケ自らが発明した『真空ポンプ』で中の空気を抜く。 半球はぴったりとくっ付いてしまい、どんなに引っ張っても外れる事が無く16頭の馬が双方から引っ張り、ようやく半球は外れたと言う。 この実験は当時否定されていた『真空』の存在を証明する事になったが、 このように密閉空間の空気を抜き続ける事は、『圧倒的圧力』を生み出し大変危険であると言えるだろう。 百文字を中心とする、バトゥロが描き続ける『半球』は・・・っ。 重なり合う『風切り音』と描かれ続ける『半球』とで、 外界から閉ざされた『密閉空間』を作り出し・・っ。 その密閉空間は『真空』ッ! 大気圧による『大圧力空間』を生み出したッッ!! あたかもッ!! もう一つの『次元』であるかのように、其処に存在をしていたが・・ッッ!! まだッ! 『 四 次 元 に は 、 足 り え な い ッ ッ ! ! ! 』 (そうだ、鷲鼻のッ!) (貴様の実力は『こんなモノでは無いッッ!!!』) グギュ! グギュ! グギュ! グギュ!(大気圧による『大圧力空間』の中・・・ッ!!) グギュ! グギュ! グギュ! グギュ! グギュ!(百文字は、知り得て居たッッッ!!!!) (凄まじい空間だッ!) (ただ立つ事すら、ままならぬ空間だッ!) (だがな、鷲鼻のッッ!!) (この空間の『持続時間』はどのくらいだ?) (如何に貴様が、超高速で動きッ!) (飛び跳ねる事が出来たとしてもッッ!!) (無限に行える訳ではあるまいて、鷲鼻のバトゥロッッ!!) (この空間を用い『然るべき一撃』を放つ事によりッ!!) (『四次元ボクシング』足りえるハズッッ!!) グンッッ!!!(耐撃の肉体がッ!!) グッッ オォォォオオオオオ!!!(肥大しッ! 大圧力を跳ね返すッッ!!!) (来いッ!鷲鼻のッッ!!) (こんな児戯(チャチ)な空間一つで、ワシを仕留められると思っている訳であるまいなッッ!!!) 「生っちょろいぞ、鷲鼻のッッ!!!」 「この程度で『四次元』足りえると充足(おも)うのかッ!! 鷲鼻のバトゥロォォオオオオオーーーーッッ!!!」 ー 百文字が咆哮(ほ)えたッッ!! (そうだ、耐撃のっ!) (貴殿の実力、『このようなモノでは無いハズだっっ!!!』) ヒュバ! ヒュバ! ヒュバ! ヒュバ!(大気圧による『大圧力空間』の生み出す・・・っ!!) ヒュバ! ヒュバ! ヒュバ! ヒュバ! ヒュバ!(超加速続ける者の名、鷲鼻のバトゥロっ!!) (この大圧力空間っ!) (ただ立つ事すら、ままならない空間ではあるがっ!) (だがな、耐撃のっっ!!) (この空間、まだ『四次元』には足りえないっ!!) (如何に貴殿が、耐撃を二つ名としっ!) (頑健丈夫を誇ろうとっっ!!) ( 防ぎきれぬ『この一撃』こそが、四次元足りえるのだ、『 耐 撃 の 百 文 字 っ っ ! ! 』 ) (この空間を用い『然るべき一撃』を放つ事によりっ!!) (貴殿に捧ぐる『四次元ボクシング』と、相成り完遂(かんす)っっ!!) グンッッ!!!(鷲鼻のバトゥロがっ!!) グッッ オォォォオオオオオ!!!(最後のっ! 超加速を決行するっっ!!!) (行くぞっ!耐撃のっっ!!) (願わくは闘争っ!誇り高き決着っ!!) 「然れども、その誇り『流血にて残酷っっ!!』」 「其処にっ!美しいモノなど、何も無いっっ!! 耐撃の百文字ィイイイーーーーッッ!!!」 ー バトゥロが咆哮(ほ)えるッッ!! グォォオオオオオオ!!!! (鷲鼻のバトゥロがッ!!) ォ ォ ォ ォ オオ オ オオ オ オ オオオオ (最後の超加速を、決行(おこな)うとッッ!!) シ ュ ゴ ォ ォ ォ ォ オ オ オオオ オ オ オオオオオオオオオ!!!!!! (半円を描いていた空間ッ!) ォ ォ ォ ォ オオ オ オオ オ オ オオオオ (空間を覆っていた『空気の全て』が、吸い寄せられてッッッ!!!!! オ オ オ ォ ォ ォ オ オ オンオ オ ン オ ン ンオ オ ン オ オ ンン !!!!(バトゥロの肉体を覆ったッッ!!!!) ーーーーー 「 『 四 次 元 ボ ク シ ン グ ・ 究 極 奥 義 ッッッ !!!!!! 』 」 ーーーーーーーー ズ ォ ォ ォ ォ オオ オ オ オ オオ オオオオオオオ オオ オ オオオ オ オ ! ! ! ! (バトゥロが突撃するッッ!!) ー 直進をするバトゥロにッッ!! ー 空間を覆っていた、空気の全てッッ!! 即ち『空気圧』の塊(かたまり)が、 鎧となって 纏(まとわ) れ る ッ ッ ! ! ! ズ ォ ォ ォ ォ ォ オオ オ オ オ オオ オオオオオオオ オオ オ オオオ オ オ ! ! ! ! (バトゥロが突撃をするッッ!!) 大圧力空間を生み出した、空気的大移動の果てに生み出された『空気圧の塊(かたまり)』ッ! その終着点を『己の肉体』とする事により、『 空気圧的 大 圧 力 エネルギー を 肉体に停滞させる ッ ッ ! ! ! 』 そのエネルギー、『己が拳』を突き出す事により、更に空気圧が移動ッ! 己の拳を終着するッ! 『 超大圧力的 ・ 急 凝 縮 』が行われッッ!!! 発生をしたエネルギーの全てが『 一 点 に 集 中 』をされると同時にィィイイイーーーーッ!! 全 力 で 持 っ て、『 殴 り 抜 け る ッ ッ ッ ッ ! ! ! ! ! 』 「 そう・・・っ!! これが噂のォォオオオーーーーーッッッ!!!! 『 四 次 元 パ ァ ァ ア ア ア アアア ア ア ン ンン チィィィ イ イ イ イーーーーーーッッッ!!!!!! 』 」 チ ” ュ ” ュ ” ド ” ォ ” ォ ” ォ ”ォ ” オ”オ” オ”オ” オ” オ” オ” ォ” ォ” ォ” オ ” オ ” オ ” オ ” オ”ォ”ン”オ”ォ” ン ” オ ” ォ ” ン ” オ ” ン ” ォ ” ォ ” ォ”オ”オ”ォ” ン ”ン ” ゥ ” ォ ” ォ ” ッ ッ ! ! ! ーーー 嘘か真か幻かッ! ーーー 一点凝縮『空気圧ッ!』 ーーー 空気の圧力、エアープレスッッ!!! ーーー 次元を超えた、その『拳撃』ッッ!!! ーーーーー→ 『 四次元パンチ 』が今! 繰り出されたぁぁ ああ あ あ あ あああ あ あ あ あ ああああ !!! ! ! ! 絶望的な・・・。 絶望的な一撃であった。 既に廃工場の跡形も無くなっていた。 バトゥロの作り出した、真空的密閉空間は、半球内だけに留まらず・・・。 その周囲ッ! 廃工場の空気までも、吸い込んだ『超超圧力的空間』によって形成されたッ!! 『 超激一点凝縮 』による『四次元的大拳撃』を作り上げたのだッッ!!! チ ” ュ ” ュ ” ド ” ォ ”ォ ” オ”オ” オ”オ” オ” ォ” ォ” ! ! ! ( 絶望的な『その一撃』!! ) だが・・・ッ。 百文字に『恐怖(おそ)れ』は無かった。 それは慢心でもなければ・・・。 諦めでも無かった。 不倶戴天・・・ッ。 許すまじその名は『ドクトル・ベイベー』。 復讐ッ! 恨みを晴らし、アムステラ討つその日を『本懐』とするのならば・・・ッッ!!! 如何なる辛苦も『 物の数ではないッッ!!!! 』 「 レスラーへの賛歌・・・・ッ。 」 「 『 そ の 1 0 0 ッッ ッ ! ! ! 』 」 己の名ッ! 100の字、意味する賛歌を呟くと・・・ッッ!!! あと1秒にも満たず直撃をするッ! 『四次元の拳撃』に立ち向かい始めた・・・ッッ!!!!!! ーーーーーー 戻る リンク集に戻る ・・・続く。
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そして終焉【フィナーレ】へ…… 後編 ◆9DPBcJuJ5Q 本郷は予想よりも早く、先行していたゼロとイーグリード、そしてミーと水色の髪の少女にしか見えない容貌の少年――ドラスと合流することが出来た。 ソルティの容態を気遣い全力とは程遠い速さで走っていたのだが、彼らが合流して話し込んでいたのが幸いしたようだ。 そこから始まった情報交換で真っ先に確かめたのは、ドラスが危険人物であるか否かということだった。 この疑惑に対して、ドラスは「最初はそうだったが、今は違う」と先程ゼロが言ったのと同じ事を言い、その内容を詳しく話してくれた。 聞かされたのは、彼が得た家族のこと。支えてくれた仲間たちのこと。 途中、ドラスは感情が昂ぶり言葉が途絶えてしまうところもあったが、その時はゼロが言葉を挟み、間を繋いでくれた。 その話の中で特に本郷が驚いたのは、ドラスが変わる切っ掛けを作った敬介と、ドラスが立ち直る切っ掛けを作った風見のことだった。 風見志郎。絶望と恐怖に沈んでいたドラスを、荒療治で立ち直らせたという。その後はウフコックが話していた強敵・ボイルドを撃破し、そして火柱キックの超威力の勢いのまま要塞に突入し、シグマと対峙していたとは思いもしなかった。 その風見が遺し、敬介が伝えたという希望の灯。それが嘘偽りの無いものであると信じられる。 神敬介。まさか、自分とは異なる時間軸から連れてこられ――バダンによって洗脳された状態だったとは、思いもしなかった。 その敬介を暗闇の呪縛から救ってくれたのが、ハカイダーとフランシーヌ――奇しくも、先程の激闘で命を落とした2人だったという。 彼らに敬介を救ってくれた礼を言えなかったことが、今更ながら悔やまれる。 そして、ほんの数時間前に彼らが死闘を繰り広げたエックスの話になると、武美とウフコック、ミーも顔を強張らせていた。 エックスとの死闘により、チンクと敬介は死亡し、ナタクという男もドラスを救いエックスを倒す為に命を懸けたという。 「……エックスの最期は、どんなだったの?」 武美が神妙な面持ちで問うと、ゼロは顔を俯けた。 そして、数秒の沈黙の後、答えてくれた。 「…………救いようの無い、大バカ野郎だったよ」 恐らくエックスは、親友にさえも容赦なく銃口を向けたのだろう。 まるで血を吐くようなゼロの言葉に、武美もミーもウフコックも、それ以上は何も言わなかった。 代わりに、本郷はソルティがエックスの仲間だったことを告げた。それを聞いたゼロは、自分からソルティにエックスのことを伝える役を引き受けてくれた。 エックスの親友であり、エックスを討ち取った本人であり、エックスの最期を看取ったゼロ以外に、適任者はいないだろう。 本郷はゼロの申し出を受け入れ、彼の心中を察して、せめて深々と頭を下げて礼を言った。 そして、話が先程までのスバルとの戦いに及ぶと、ミーとイーグリードも口を挟み、ドラスの言い分を援護してきた。 スバルが懐いていた敵対心の原因は、確かにドラスにあった。そして、スバルの姉であるギンガが、スバルの攻撃からドラスを庇って死んだことがそれに拍車をかけ、強迫観念にまでしていたのだ。 しかし、その誤解も解け、彼らは分かり合えた……はず、だった。 「スバルが自殺しただと!?」 寸毫も予想していなかった突然の訃報に、ウフコックが声を荒げる。それに対して、イーグリードは静かに頷くのみ。 恐らくスバルは、姉を殺してしまった良心の呵責と絶望を、ドラスへの憤怒と憎悪で何とか抑え込んでいたのだろう。 だが、ドラスとの和解により、今まで自分を支えていた憎悪と憤怒が消失し、絶望に耐えられなくなってしまった……。 スバルの精神が、そこまで追い詰められていたとは……察してやれなかった自分が情けない。 見ると、スバルの訃報に武美やウフコックだけでなく、ドラスやミーも沈んでいる。 ……誰かの死を悲しめる者が、邪悪なものであるはずが無い。 なにより、今まで彼が語った言葉の数々に込められた、多くの想い。それが分からないようでは、仮面ライダーは勤まらない。 「本郷。これで、話は全部だ。……お前は、ドラスをどう思う?」 ゼロからの問い掛けに、全員の視線が本郷へと集中する。その中でもとりわけ、ゼロからの視線は厳しい。 自分の一言が、ドラスの立場を左右することは本郷も十二分に理解している。武美もウフコックもミーも、本郷を強く信頼してくれている。だからこそ、本郷の判断に大きな影響を受けて考えるだろう。 ここで本郷が信じられないと言ってしまえば、最悪、それだけでゼロとドラスとの対決が避けられなくなってしまいかねない。 尤も、それは本郷が自分を戒める為にした仮定でしかありえないのだが。 本郷はゼロの言葉に頷くと、ドラスへと歩み寄り、彼の両肩に手を置いた。 それに反応して視線を上げたドラスの目を、本郷は真っ直ぐに見つめた。 純粋で綺麗な、そして力強さを秘めた瞳。 その瞳の輝きは、どこか、復讐を棄てて正義を選んだ男達に似ていた。 「ドラス、よく頑張ったな。そして、敬介のこと……俺からも礼を言わせてくれ」 「お、お礼って……?」 「敬介を許してくれて――敬介を、仮面ライダーXと認めてくれて、本当にありがとう」 戸惑うドラスに、本郷はすぐさま答えを返した。 敬介は暗闇に操られていたとはいえ、守るべき者達を、そして茂をも殺してしまった。その大き過ぎる罪に、仮面ライダーが決して犯してはいけなかった過ちに、敬介は打ちのめされていたはずだ。 その敬介を、家族を奪われた悲しみと憎しみを越えて――ドラスとチンクは許した。 もしもドラスとチンクに許されなかったら、敬介は最後まで仮面ライダーとしての誇りと信念を取り戻せなかっただろう。 戦うことにしか活かせない、鋼の仮面と機械の身体。 だが、だからこそ、戦いの中で得られた思い出や絆がある。仮面ライダーとしての誇りがある。 敬介がそれらを取り戻せたことが、本郷には嬉しかった。 だからこそ、それを成してくれたドラスに礼を言い、彼を認めたのだ。 「じゃ、じゃあ! 僕も……本郷さんと一緒に戦ってもいいですか!?」 すると、緊張しながらも、どこか喜色が混ざった表情でドラスはそのようなことを問うて来た。 正直、彼の今の身形からは高い戦闘能力を連想することは出来ないのだが……。 「ドラスの戦闘力はなかなかのものだぞ。それに、覚悟も決意も並じゃないさ。でなければ、ここにこうして立っていない」 すると、本郷の心情を察してか、ゼロがそのようなことを言ってきた。 そのように言われては、本郷も頷くしかない。 それに、ドラスは風見と敬介、2人の後輩が導いた戦士なのだ。蔑ろにすることは、彼らに対しても失礼だろう。 「こちらこそ、よろしく頼む。ドラス」 言うと同時に、ドラスの肩に置いていた手を離し、そのまま右手を差し出す。 「はい、本郷さん!」 本郷が差し出した右手を、ドラスは嬉しそうに、そして誇らしげに握り返してくれた。 ドラスとの握手を終えて、本郷は武美とウフコックとミーに振り返った。 3人とも本郷の判断に異論は無いらしく、黙って頷いてくれた。 「自己紹介が遅れちゃったね。私は広川武美。こっちはソルティ。よろしくね、ドラスくん」 そう言って、武美はドラスに歩み寄って握手をした。 慎重で疑り深いところもある武美が、先程まで疑惑を懐いていた相手に積極的に接してくれることは、少し意外だった。 復讐を乗り越えたというドラスに、思うところがあるのかもしれない。 「委任担当捜査官、ウフコック・ペンティーノだ。……これまでの誤解を詫びたい」 武美の肩に乗ったウフコックは自己紹介に謝罪を重ねる。それに対してドラスは、それぐらいは当然の報いだと言ってくれた。 強い子だ。ここまで強くなれたのは、風見やゼロの影響だろうか。 「僕はミーくん。見ての通りの猫のサイボーグさ!」 ミーもまた、ドラスと握手を交わす。 「仮面ライダー1号、本郷猛だ」 本郷も改めて、人間として、そして仮面ライダーとして名乗る。 「今更だが、そういえば碌に挨拶もしていなかったよな。俺はイレギュラーハンター第0機動部隊隊長、ゼロだ。厚かましいかもしれないが、よろしく頼む」 暴走していたことをまだ引き摺っているのだろう。少しバツが悪そうに、ゼロも改めて名乗った。 武美が即座に応じると、小声で礼を言っていた。 「僕はドラスです! みんな、よろしく!」 元気の良いドラスの挨拶が辺りに響く。 こうして見ると、外見は完全に少女だが……変えられる姿を変えようとしないのは、初めの思惑はどうあれ、この姿で積み重ねてきたものを大切に思えばこそだろう。 そして、最後の1人が徐に口を開いた。 「俺は、元イレギュラーハンター第7空挺部隊隊長……そして、シグマ隊長の直属の部下、ストーム・イーグリードだ」 イーグリードの言葉に、全員に緊張が走る。 シグマの直属の部下であると明確に告げられれば、彼の人となりを知っていてもやはり警戒してしまう。 「話したいことは数多くある。だが、今は敵対勢力の情報把握こそ肝要だ」 本郷達からの暗黙のプレッシャーにも動じず、イーグリードは口を開いた。 ゼロは黙ったまま、視線だけでイーグリードに先を促した。それに頷き、イーグリードは話を進める。 「今残っている参加者は、ここにいるメンバーを除いて3人。その3人が全員、勝ち残りを目指す危険人物であり、屈指の戦闘能力を有している」 「え? ゼロさん、フランシーヌさんとハカイダーは?」 「そうだよ。他は3人だけじゃないんじゃないの?」 『残り3人』というイーグリードの発言に、事情を知らないドラスとミーが疑問を口にする。 ゼロはその問いに即答できず、苦虫を噛み潰したような表情になる。 「……そのことも含めて、まだ話し合うべきだな。イーグリード、続けてくれ」 ゼロの心中を察してだろう、ウフコックがそのように言ってイーグリードに先を促した。 頷き、イーグリードは話を再開した。 「メガトロン、コロンビーヌ、T-800。それが、残る危険人物の名だ」 ▽ 先ず、ゼロの暴走の現場に居合わせていなかったドラスとミーに、本郷とウフコックとゼロが事の顛末を伝えた。 シグマウィルスによるゼロの暴走、フランシーヌとハカイダーの奮戦と彼らの死。 2人のお陰で正気に戻れた、とゼロが告げると、ドラスは何かに納得したように、静かに頷いた。 ミーはアルレッキーノが大切に想っていたフランシーヌと、一度は助けられたハカイダーの死を悼んだ。 それを見届けると、イーグリードはすぐに残る3人の危険人物について伝えた。 ここまで数少ない戦いだけで着実に生き残ってきた、智謀と実力、何より運を併せ持つ難敵――メガトロンとコロンビーヌの2人組み。 本郷はコロンビーヌがフランシーヌを裏切ったという事実に強い衝撃を受けていたが、すぐに立ち直り、戦士の顔に戻った。 厄介なのは、あの2人が所持している支給品の中にパワーアップアイテムがあることだ。やはり、彼らの悪運は相当なものだ。 イーグリードは主催者側として把握していた2人の性格と戦力、ここに来てからの戦法を正確にゼロ達に伝えた。 奇しくもこの時こそが、ドラゴンメガトロンがギギの腕輪とガガの腕輪を装着しグラーフアイゼンを振り被るコロンビーヌに必死の弁解をしている、その瞬間であった。 そして、次に伝えたのがT-800のことだ。 T-800の経歴は全参加者の中でも特殊であり、そのこともイーグリードは仔細に説明した。 「つまり、だ。T-800は人類掃討の為に作られたレプリロイドだが、人類側に捕まって服従プログラムを書き込まれ、人類側の戦力になった。 だが、シグマウィルスによってそのプログラムが破壊され、現在は元通り、人類掃討のために動いている……ということだな?」 ゼロが話した内容を簡潔に纏めて、イーグリードに確認した。 冷静な分析力と判断力は相変わらずだと考えながら、首肯する。 「そうだ。元々の設計思想がイレギュラーそのものだからこそ、シグマウィルスによる影響も服従プログラムの破壊のみに留まっているようだ」 まさか、シグマ隊長をイレギュラーから正気に戻した機能が、一方では嘗てのイレギュラーを目覚めさせてしまうとは……皮肉、だな。 「……ボブは本当に、この殺し合いに乗っているのか?」 「獅子王凱を殺したのはヤツだ。無論、獅子王凱はシグマウィルスには感染していなかった」 「そう、か……」 仲間と信じていた者の本性を聞かされ、本郷は悔しそうに呟いた。だが、それでも多少の疑念はあったのだろう。 そうでなければ、出会ったばかりのイーグリードの言葉だけでT-800が敵だと認めることはなかったはずだ。 「さて。どうする、本郷。T-800への対処を優先するか? それとも、イーグリードから更に話しを聞くか」 最初からT-800を敵だと判断していたゼロは躊躇うことなく、未だに沈黙している本郷にこれからの方針を問うた。 どうやら、ゼロは本郷を試しているようだ。 「ふむ…………ウフコック、武美、ミー、ドラス。君達の意見は?」 暫時思考すると、本郷はゼロ以外の仲間4人の意見を尋ねた。 先程は率先して意見したが、こういう場面では全員の意見を尊重する。リーダーとして申し分ない判断能力だといえるだろう。 仮面ライダーのリーダー格は、やはり伊達ではないということか。 「俺は、T-800への発言に対する信憑性を確かめるためにも、イーグリードから話を聞くことを優先すべきだと考える」 「私も賛成。嘘で私達を罠に嵌めようとしているのかも知れないし」 ウフコックと武美は、戦場を共にした相手とは雖も、イーグリードへの警戒を緩めずにそのように言った。 この判断は妥当であり適確だろう。同時に、イーグリードが信頼を得られていないことの証左でもあるのだが、致し方あるまい。 「僕も2人に賛成。……正直、ボブさんと戦うにしても、どうしても迷っちゃいそうだし」 「うん、僕もミーくんと同じだよ。……けど、もしもスバルお姉ちゃんのことが嘘だったら、容赦しないよ」 ミーとドラスは、自分の気持ちに正直にそう言った。特に、ドラスの睨みには肝を冷やす。 自分の感情に素直なところが、この2人の美点であると同時に欠点といったところか。 しかし、その姿は……まるで、あの頃の――――。 「俺も皆に賛成だ。……それに、今の俺ではボブ――T-800を倒せるのか怪しい」 「安心しろ、本郷。ヤツは俺が殺してやる」 珍しく弱気な発言をした本郷に、ゼロが言葉を重ねる。 その表情に一切の迷いも疑いも無い。唯一ゼロだけが、イーグリードに全幅の信頼を寄せてくれている。 そのことに感謝しつつ、イーグリードはゆっくりと口を動かした。 「分かった。それでは、君達に伝えよう。この殺し合い……バトルロワイアルの真実を。そして、シグマ隊長の真意を」 伝えるべきことはあまりにも多く……そして、重い。 ▽ 静寂とは違った、沈黙。 イーグリードから伝えられた『真実』。それによって、この雪原の空気が更に下がり、肌に感じるほど重くなった――そんな錯覚を、武美は感じていた。 それは恐らく他のみんなもほぼ同様なのだろう……が、生憎と、今の武美にそんなことを気に懸けられる余裕は無い。 真実を告げられた直後は、そのあまりにも突拍子の無い内容に理解が追いつかず、混乱してしまった。 その間にも、本郷やゼロ、ウフコックはイーグリードと話を続けて――やがて聞いているだけだった武美やミーやドラスにも、イーグリードが伝えた言葉が、本当に“真実”なのだと理解できた。 本郷達の話についていこうとしてオーバーヒート寸前だった頭を、深呼吸して冷たい空気を取り込むことで強制的に冷却した――が、すぐに別の理由で、頭がカッとなった。 そして、その湧き上がった熱を内に留めることなどできず、口から外へと思い切りぶちまけた。 「ふっ――――っざけないでよ!!」 武美の叫びが、周囲の静謐とした空気を震わせる。 そして、それに呼応するようにして、他の皆も口を開いた。 「この殺し合いが、平和によって堕落した人間によって仕組まれた――茶番、だったというのか……!」 「酷過ぎるよ、こんなの……こんなのって、無いよ……!」 「くそっ、胸糞悪ぃ……!」 イーグリードが告げた真実とは、この殺し合い――バトルロワイアルの実態だった。 嘗て、シグマが風見志郎に告げたのと同様の内容を、イーグリードは話したのだ。 曰く、日常から非日常に放り込まれた者が変わり果てていく過程を眺めるのが好きだ。 曰く、単純に殺し合いを観るのが、股座がいきり立つほど好きだ。 曰く、善良な者が邪悪な者に堕ちていく姿が好きだ。 曰く、高潔な信念や理想が、クソみたいな現実に蹂躙されて砕け散る瞬間が好きだ。 ――そんな、邪でどうしようもなく下らない欲求や趣味を持った暇人達が、持て余していた暇を埋めるために用意した『娯楽』。 それが、この殺し合いの正体だったのだ。 はっきり言って、反吐が出る。 世界征服やら企業利益のためやら、そんな野望の為だった方が億倍マシだった。 なんの野心も理念も持ち合わせない暇人達を、ただ満足させる為だけに、自分達はゲームの駒のような役割を強制され、つい先程まで掌の上で踊らされていた。 ……ああ、本当に、反吐が出る。 エックスに懐いた憎悪と憤怒をも上回る激情が、武美の内に沸々と、際限無く湧き上がっていた。 「奴らは、長らくロボットの軍団と戦争状態にあった。その歴史が、俺達のような存在に対する差別と偏見を生み出したらしいな」 イーグリードもまた、自分で言っていて胸糞悪くなっているのだろう。このバトルロワイアルを開いた人間たちの事情を、吐き棄てるように言った。 しかしそんな程度で、今の武美は溜飲を下げることなど出来ない。 「クロちゃんも、草薙さんも、みんな、精一杯生きてた! 本郷さんも、ソルティも、ミーくんも、ウフコックも……ゼロさんやドラスくん、それに私だって、頑張って生きようとしている!! そんな私達の命を見世物にして、自分達の暇潰しにするなんて……絶対に許さない!!」 心の内に湧き上がった激情を、言葉として吐き出す。 その鬼気迫る形相と口吻の激しさに、ウフコックやイーグリードでさえも驚いていた。 だが、こんな程度では納まりが付かない。納まるはずがない。 怒りは雪原の冷たい外気でさえも埒外のものとして、身体を、頭を赤熱させ、呼吸を乱し、肩を、腕を、握った拳を小刻みに間断なく震えさせる。 そして、武美の表情もまた、醜く歪んだものになっていた。 ――武美本人も、ゼロ達も知る由も無いが、その表情は…… ……ロックマンの亡骸の前で慟哭した、エックスの表情に酷似していた―― 「武美さん、落ち着いて」 すると、突然声を掛けられた。 声の主は、見せしめに殺された少女と瓜二つの容姿の少年――ドラスだ。 ドラスは武美とは打って変わって、憤るでも恨み言を言うでもなく、ただ武美のことを心配そうに見ていた。 その態度が、何だか今の武美には癪に障ってしまう。 「ドラスくん……。あなたは、憎くないの? 私達を道具か玩具みたいに扱ったヤツラが……!」 上から威圧するような、暗に同意を強制するような物言い。 平素とは違う武美の様子に、ウフコックも何も言わずとも心配そうに鼻を動かしている。 ドラスは武美の言葉を聞くと、悲しみに顔を顰めて、数秒の間を置いてから答えた。 「僕だって、あいつらは許せないよ。……それでも、憎しみに身を任せちゃいけないんだって、そう思う」 その言葉は、如何なるものに裏付けられたものなのか。 単なる強がりでも、口先だけの言葉でもないことは、ドラスの目を見れば分かる。 その華奢な容姿には似合わない、強い意志を感じさせる瞳。 ドラスは家族を奪われた憎しみを越えて、その下手人である男――神敬介を許した。たとえ彼が洗脳されていたとしても、彼が殺したという事実に変わりないのに。 もしも武美がドラスの立場で、敬介ではなくエックスに許しを請われても、決して許さなかっただろう。 それどころか、無抵抗なのをいいことに、存分にクロと草薙の仇討ちを――復讐を遂げていたことだろう。 そんな武美を、ドラスが諭す。 憎しみよりも、もっと大切なものを見るべきなのだと。 「武美、そこにいろ。いいもん見せてやる」 そこで唐突に、あの言葉が聞こえてきた。あの時の光景を思い出した。 クロがあの時に言った言葉と、ボロボロの体でニヤリと不敵に浮かべた笑みを。 あの時クロが見せてくれたものは、破壊のプリンスと呼ばれたクロの生き様と戦う姿。 クロはあの時、どうして戦っていた? どうして、死に掛けの身体で、他人の――武美の為に命を懸けてくれたのだ? その理由を、今はまだ理解できない。だけど、これだけは分かる。 あの時クロは、憎しみで戦っていなかった。 そうでなければ、あんな風に笑えるはずが無い。 「ドラスの言うとおりだ。武美、憎しみに翻弄さてはいけない。そして、怒るなとまでは言わないが、怒り過ぎるな。過ぎたるは及ばざるが如し、と言うだろう?」 「過剰な怒りは判断を誤らせ、足りない怒りは決断を鈍らせる。そういうことだ」 本郷とウフコックもまた、武美を穏やかに、そして優しく諭した。 その言葉も、今なら武美の耳に届き、心に響いた。 「そう……だね。ありがとう、本郷さん、ウフコック、ドラスくん」 武美は素直にお礼を言った。この時、照れくさそうにドラスが笑ったのが印象的だった 今までこういうリアクションをする仲間が、ネコのミーやクロしかいなかったからだろう。 「……それで、シグマは何か手を打ったのか? イーグリード」 武美が落ち着きを取り戻したのを見計らって、ゼロがイーグリードにそのようなことを問うた。 これは重要な質問だ。武美も返答を聞き逃すわけにはいかないと、視線をイーグリードへと向けた。 その途中に目に入った、何故かバツが悪そうにしているミーの姿が、武美には不思議だった。 「シグマ隊長は既にスカイネットをシグマウィルスに感染させ、ロボットによる反乱を再び起こした。もう、奴らに並行世界が脅かされることも……このような殺し合いが起こるようなことも、ない」 その言葉に、イーグリード以外の全員が驚きを露にした。 まさか、シグマがそこまで大胆な手を打っているとは考えてもみなかったのだ。 しかし、その中で唯一、本郷だけが驚愕の中に悔恨と悲哀を覗かせていた。 どうしてそんな表情をするのか気になったが、何となく安易に触れてはいけないことだと思えて、この場は流すことにした。 それから暫く、ゼロとイーグリードを中心にシグマについて話し合われた。 「……まさか、シグマが正気に戻っていたとは、な」 イーグリードとの問答を終えると、ゼロはそう言って深く溜息を吐いた。 確かに、絶対的な敵だと思っていた相手が実は善人であり味方とも言える存在だったというのは、武美としても意外であり驚きだった。 この殺し合いの真実のショックが大き過ぎて、そちらのことをすっかり忘れてしまっていた。 「シグマは全ての業を背負って……俺達に倒されることによって、最後の清算をするつもりか」 鋭い目付きで、本郷はそのようなことを言った。 最初、武美にはその意味が分からなかったが、やがて理解できた。 主催者達の片棒を担いできたことと、この殺し合いの運営を実行していたこと。 シグマがイーグリードの言う通り本郷のような善人であったなら、その葛藤や良心の呵責は凄まじいものだったろう。……自殺してしまったという、スバルのように。 だから、シグマがこの殺し合いの最後の罪を背負って死に場所を求めるのも、ある意味当然のことなのだろう。 「そうだ。……ここからは、俺の身勝手な頼みでしかない。どうか、聞いて欲しい」 頷くと、イーグリードは神妙な面持ちで全員の顔を見回して――突然、頭を下げた。 「頼む! どうか……シグマ隊長を救ってくれ! バトルロワイアルを生き抜いたお前達以外に、シグマ隊長を救える者はいないんだ!」 聞けば、元々シグマはイーグリードとゼロ、そしてエックスの上官であり、彼らに『牙無き者の剣となれ』と教えを説いた高潔漢だったという。 敬愛する隊長が、イレギュラー化と言う不治の病を奇跡的に克服して戻って来たというのに、絶望と罪の意識に囚われたまま死んで逝くのはあんまりだと、イーグリードは血を吐くように叫んだ。 数分間、場を静寂が支配する。 そして、武美達の視線が瞑目して黙考しているゼロと本郷に集まると、2人はほぼ同時に目を開いた。 「救えるかどうかは別として、シグマとは決着を付けるさ。本郷、お前はどうする?……いや、その前に。お前は、戦えるのか?」 あやふやな希望は口にしない、容赦の無い戦士の決意の言葉。だが、完全否定をしていないことから、ゼロにも思うところがあるのだろう。 だが、後半の部分の言葉の意味が、武美にはさっぱり分からなかった。 「何言ってるんだよ、ゼロさん。本郷さんの強さはよく知ってるでしょ?」 ミーの反論にも、ゼロはすぐに首を横に振る。 「そういう意味じゃない。仮面ライダーは人類の自由と平和を信じて戦う正義の戦士だと、風見は言っていた。……仮面ライダー1号、本郷猛。お前は、今でもその正義の為に戦えるのか?」 その言葉を聞いて、武美は自分の迂闊さを思い知らされた。 本郷はいつも口にしていたではないか。ゼロが語った言葉、そのままの正義を。 未来の人類の醜い悪意によって起こされた、このバトルロワイアルという悪辣で醜悪な殺し合い。 人類の為に戦うと誓った本郷の正義が、打ち砕かれてもおかしくは無いのだ。 武美はミーと共に、心配そうに本郷を見る。だが、ドラスとウフコックはそんな2人に「大丈夫だ」と声を掛けた。 それが聞こえたのか、本郷は力強く頷いて、答えを口にした。 「ああ、戦える。詭弁かも知れないが、この殺し合いを開いた“未来の人類”と、俺達が信じている“人類の未来”は、きっと違うものだ」 本郷の揺るぎの無い力強い言葉。 その声にも横顔にも、寸毫の迷いも躊躇いも無い。 本人は詭弁かもしれないと言っていたが、武美はそうは思わなかった。 寧ろ、それでこそ仮面ライダー、本郷猛だと拍手喝采を贈りたかった。 「……懐かしい未来、か」 すると、ゼロは本郷の答えに満足してか、小さく笑みを浮かべながらそんなことを言った。 「懐かしい未来?」 文法的に支離滅裂な言葉だが、不思議と綺麗で温かい響きの言葉だと、武美にはそんな風に感じられた。 「誰でも一度は夢見るものだろう? 本当の平和、ってやつをな」 ゼロはそう言いながら、どこか遠くを見つめていた。 ▽ 「イーグリード。君の他に、シグマ側の戦力はいないのか?」 話も纏まったところで、本郷はイーグリードにそのようなことを問い質した。 未だに敵対勢力が健在である現状、味方となりうる戦力の把握は重要だろう。それに、あの要塞にいるのが3人だけということもあるまい。 「実は、俺の他にも7人、各世界から集められた精鋭がいたんだが……」 「が?」 先程までとは違って歯切れの悪いイーグリードの話し方に、首を傾げながらドラスが言葉尻を取って先を促した。 それを見て溜息をついてから、イーグリードは重い口を動かした。 「V3の火柱キックで、既に目覚めていた俺以外の全員が重傷を負ってしまったんだ。少なくとも5人はライト博士でも修理できないほどの深手を負い、やむを得ず自分達の世界に帰還した。後の2人も、もしかしたら戻っているかも知れんな……」 その言葉に、全員が瞠目した。風見の先輩である本郷でさえも、だ。 コロニーを突き破って要塞に突入しただけでも途轍もない偉業だと言うのに、まさかそれほどのことを成し遂げていようとは。 威力が制限された状態でそれほどの威力だったのならば、制限が無かったのならどうなっていたのだろうか。 ……もしかしたら、あの要塞は宇宙の塵になっていたかもしれない。 本郷は本気で、そんなことを考えていた。 それも偏に、V3の改造手術を施した本人であることと、風見志郎の高い実力を知るが故の冷静な判断に基づくものなのだから末恐ろしい。 「凄いや、風見さん……!」 ドラスは驚き半分、憧れ半分で赤い仮面の男の名を呼んだ。 それを聞いたミーと武美も、確かに凄い、と頷いている。 「元の世界に戻る装置が要塞内にあるのか?」 仮面ライダーV3の意外な功績はともかくとして、ウフコックはイーグリードの言葉の中にあった重要な単語を聞き逃さず、それをすかさず確かめた。 イーグリードもすぐに、それに頷いた。 「ああ。シグマ隊長の待つ玉座の間――お前達が最初に集められた場所に隠されている」 それはつまり、シグマを無視して帰還することは決してできない、ということだ。 改めて、全員がシグマとの決着を覚悟する。 「さて。本郷、どうする? 勝ち残りを狙っている連中とシグマ……どちらと先に決着をつける?」 もうイーグリードから聞く事はないと、ゼロは本郷に今後の方針を問うた。 迷わず真っ先に本命を攻めるか、後顧の憂いを先に絶つか。 「……シグマと決着をつけよう。イーグリード、要塞へ案内してくれ。ソルティの容態も気懸かりだしな」 本郷は、シグマとの決着を優先した。それには誰も異論を挟まない。 この決断は、仲間と信じていたT-800との対決を先延ばしにしたものではない。 バトルロワイアルの打破のために陰ながら戦っていた、同志とも言える存在であるシグマを一刻も早く救いたいという、本郷の愚直のまでの正義感によるものだった。 「分かった。最寄りのシャトル基地に行くぞ。そこにも要塞への転送装置がある」 イーグリードの言葉に頷き、全員がシャトル基地に移動すべく準備を始めた。 この時、ドラスが体内に爆弾があっては要塞には行けないのではないかと疑問を口にした。しかし、イーグリードは問題無いと即答した。 参加者の体内に仕掛けられた爆弾は禁止エリアに接触しなければ爆発せず、除去も容易。また、ドラスならばコロニーから出て制限さえ無くなれば自力で体外に排出できるだろう、とのことだった。 出発の準備をする中、ドラスはスバルの亡骸を確かめられないことを悔いたが、今はそんな場合ではないと、後ろ髪を引かれる想いを必死に振り払った。 ▽ 全員が着々と移動の準備を進めている中、1人だけ離れた場所にいるミーに気付き、ウフコックは武美と本郷に断りを入れてからミーの下へと向かった。 本郷は現在、イーグリードとゼロと最後の打ち合わせ中。武美もドラスと会話しながら、未だ意識の戻らないソルティを看ている。また、ドラスもイーグリードから受け取ったサブタンクというアイテムによって傷を治している最中だ。 ならばこの状況で彼と接触するのは自分こそが適任だと、ウフコックは判断した。 「ミー、どうした? 浮かない顔をしているようだが」 離れた場所に座り込んでいるミーの足元に近付き、話しかける。 しかし、この顔の造りでどうしてこんなにもミーは感情表現が豊かなのだろうか。彼を改造したという剛博士の技術力は驚くべきものだ。 「ウフコック。どうしたんだよ、君の方からボクに絡んでくるなんて珍しいじゃないか」 「ああ。お前から、僅かながら孤独を感じたのでな」 ミーの声にはやはり元気や覇気というものが、今までに比べて少ないように感じられた。 加えて、出会ったばかりの頃のバロットを髣髴とさせるような、孤独と、僅かながらの虚無。ここに絶望感が無いのは、この状況で幸いだ。 「……御自慢の鼻かい?」 「いや。経験による推察だ」 何も嗅覚とターンだけがウフコックの全てではない。経験し、思考し、時には直感することだってある。 ミーもその言葉に納得してくれたようで、すぐに元気の無い理由を話してくれた。 「そっか。……実はさ、この殺し合い、バトルロワイアルだっけ? それの真実って言うか、理由を聞いてもさ、あんまりショックじゃなかったんだよ」 「なに?」 ウフコックはミーの言葉が信じられず、思わず聞き返してしまった。 あのような下劣な動機を聞かされて、さほどのショックを受けなかったというのは、どういうことなのだろうか。ウフコックでさえも聞いた直後は激情で思考が埋め尽くされたというのに。 だが、それならば、ミーの感じているであろう孤独も理解できる。 「ボクは元々野良猫で、ボクを改造してくれた剛くんも変人扱いされていた。だからってわけでもないけど、人間の嫌な部分はよく知っているんだよ」 どうやら、ミーはその『原因』を語ろうとしているようだ。 或いは、情報を共有することで孤独や罪悪感が和らげるのではないかと考えているのだろうか。 それならば望むところだ。ウフコックという個人が独力で誰かの力になれるのなら、それも悪くない。 「剛くんが川原に家を作って勝手に住み着いて、捨てられていた子猫を拾っては面倒を見ていた時期があったんだ。そしたら近くに住んでいる連中はさ、迷惑だからどっか行けって、毎日毎日言い寄ってきた。……ボクらに、行く当てなんか無いのにさ」 恐らくは、所謂ホームレスのような暮らしだったのだろう。 それにしても、ミーのようなサイボーグを作る技術を持った科学者の有用性を認めずに変人扱いするとは。武美の件といい、別世界の事情には良くも悪くも驚かされてばかりだ。 「で、ある日、剛くんと用事から帰ってきたら……家が燃やされてた。『我々は再三警告したのだ』……ってさ」 「それは」 相手は行く当ても無く、その場に留まる事しか出来ない弱者。それに対する嫌がらせならば、分からなくも無い。 だが、焼き討ちとはどういうことだ。あまりにも苛烈で、あまりにも過剰な仕打ちではないか。 ミーの善良な人となりを知ればこそ、その人間たちの行動がウフコックには信じられなかった。 「剛くんは家に残っていた子猫達を助ける為に火の中に飛び込んで、ボクもそれに続いた。……あの時、それを見ていた人間たちの目が、忘れられないんだよ。…………あの、ゴミか何かを見るような目が、さ」 人を人として扱わず、生命を生命として見ず、ただ、己の衝動と欲望のままに行動するその姿は――今回の殺し合いを開いた連中と、根源の部分が同一ではないだろうか。 ウフコックはここで、ミーの言わんとしていることを察することが出来た。 つまりミーは、とっくの昔に人間を見限っていたのだ。 「人間って言うのは、利己的で傲慢で残酷で、自分達の為なら自分達以外のものをどうしようと、どうなろうと感心を持たない最悪な生き物だって、その時思ったんだ。 勿論、剛くんやクロんトコのじーさんとばーさん、本郷さんや武美みたいな一部の例外を除いてね」 あまりにも饒舌な言語と人間的な思考と感情に忘れがちだったが、ミーは猫。人間でも、人間を模して造られたロボットでもないのだ。 人間に対する見方、人間から受けた仕打ち、人間からの見られ方。それらに人間である、若しくは人間的である本郷達と大きな違いが生じるのは、当然のことだったのだ。 「だから、かな……。ボク、『暇人達が娯楽の為に殺し合わせてた』って言われても、『ああ、そんなもんなのか』って、あっさり納得できたんだよ。……なんだかそのことがさ、みんなにすっっっごく申し訳なくてさ~」 それでも。人間を絶望や諦観とも違った感情によって見限っておきながら、個人を個人として見られるのは、ミーの美徳か。 或いは、剛博士を始めとした、様々なモノ達との交流で培った絆【ボンド】によるものか。 なんにせよ、ミーらしい悩みであったと、ウフコックは安心した。 感じられた微かな虚無も、恐らくは過去の残滓。 ウフコックが気に懸けずとも、ミーならば自力で解決できるだろう。 「感性は人であれ猫であれ、それぞれのものだろう。そのことで、お前が罪悪感や孤独感から孤立してしまうような必要性は無い」 「そう、かな」 「少なくとも、俺はそう思う」 弱々しく聞き返してきたミーに、ウフコックは即座に頷く。 「……ありがとう、ウフコック。ちょっと、元気が出てきたよ」 先程までの浮かない顔が、今では引き締められたものになっていると分かる。 ……まったく。猫という全く別の生物とのコミュニケーションを確立し、人間的感情表現まで実現させた剛博士の技術力には驚くばかりだ。 「そうだ! ドラスにも言ったじゃないか、ボクらに落ち込んでる暇はないって! よぉし、頑張っていくぞー!!」 そう自分自身に言い聞かせ、ミーはいつもの調子を取り戻した。 やはり、ミーには明るいムードメーカーの姿が似合う。 私見ではあるが、これで内憂は払われた。 本郷も、ゼロも、ドラスも、ミーも、武美も、そしてウフコックも、己の内にあった憂いを互いに支え合うことで打ち払った。 これで、残る問題は外患のみ。 シグマとの決着、和解は不可能と考えられる3人の危険人物、そして未知のイレギュラー要素。 この殺し合いの終わりがどうなるかは分からない。 だが、終幕【フィナーレ】に近付いているのは確かだろう。 ▽ ミーとウフコックの話が終わると、早速、移動を開始することになった。 本郷はゼロから渡された己が愛車にして半身とも言えるサイクロン号に跨り、後ろには武美とウフコックを乗せる。 ゼロはサイクロン号と交換に受け取った、ハカイダーの愛車である白いカラスに単身跨る。 ドラスはミーと共に、仮面ライダーストロンガーのパートナーであったという電波人間タックルの愛車に、格別の因縁と感慨を感じつつ足をかける。 イーグリードは未だ気絶しているソルティを、壊れ物を扱うように丁寧に抱きかかえている。 「行こう」 本郷からの号令に応じて、彼らは“終わり”へと向けて一斉に走り出した。 時系列順で読む Back そして終焉【フィナーレ】へ…… Next そして終焉【フィナーレ】へ…… 状態表 投下順で読む Back そして終焉【フィナーレ】へ…… Next そして終焉【フィナーレ】へ…… 状態表 152 そして終焉【フィナーレ】へ…… ゼロ 152 そして終焉【フィナーレ】へ…… 状態表 152 そして終焉【フィナーレ】へ…… 本郷猛 152 そして終焉【フィナーレ】へ…… 状態表 152 そして終焉【フィナーレ】へ…… 広川武美 152 そして終焉【フィナーレ】へ…… 状態表 152 そして終焉【フィナーレ】へ…… ソルティ・レヴァント 152 そして終焉【フィナーレ】へ…… 状態表 152 そして終焉【フィナーレ】へ…… イーグリード 152 そして終焉【フィナーレ】へ…… 状態表 152 そして終焉【フィナーレ】へ…… ドラス 152 そして終焉【フィナーレ】へ…… 状態表 152 そして終焉【フィナーレ】へ…… ミー 152 そして終焉【フィナーレ】へ…… 状態表 152 そして終焉【フィナーレ】へ…… トーマス・ライト 152 そして終焉【フィナーレ】へ…… 状態表
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運命交差点(前編) ◆DNdG5hiFT6 (――柔らかい) 頬に触れた手は子供の持つ質感と温かみをノーヴェの手のひらに伝えてくる。 目の前で失ったはずの姉に良く似た顔立ち。 サファイアのような蒼いの瞳に吸い込まれるような錯覚を感じた。 それは甘美な夢。ナンバーズの姉妹がみんなそろって、笑っている夢。 ナンバーズだけじゃない。ドクターも、スバルも、ギンガもみんな笑っている。 ああ、それはどんなに幸せな世界だろう。 「ノーヴェ!」 だが何処か電子音じみた片言によってノーヴェは現実に引き戻される。 声の主はタンクローリーの後部座席から降りてきたロボは 重たい足音を立てて2人に近づくと、ブリキじみたレトロなボディをその間に割り込ませた。 その行動はどこかノーヴェを庇っているようにも見える。 「アナタノ、オ名前ハ?」 「……僕はドラス。お姉ちゃん達は?」 「ワタシはロボ、落ち込んでイルのがメカ沢、この子はノーヴェといいマス」 「な、なあ……お前、セインって奴を知ってるか?」 ロボの体越しに恐る恐る目の前の存在に問いかける。 「さぁ? 僕も良くわからないんだ。 目が覚めたらここにこの姿でいたってわけ」 その答えにがっかりすると同時に、どこかほっとする。 これが“他人の空似”って奴なのだろうか? 「……情報の交換ヲ行いたいのデスがいいデスカ?」 未だに落ち込んでいるメカ沢を尻目に、ロボが主体になって情報交換を始める。 と、いっても互いに大した情報を持ち合わせているわけではなかった。 ドラスは戦闘を避けてきたというし、こちらにしても大して人と接触したわけではない。 直に情報は途切れ沈黙が降りるが、その沈黙に乗りかかるようにドラスは笑顔を浮かべる。 「そうだ、僕も一緒に連れて行ってくれない?」 天使のような微笑を浮かべて、ドラスは畳み掛けるように口を開く。 「それに急いでるんじゃないの? 何処か急いでたみたいだけど?」 ドラスのその言葉に思い出す。 そうだ、こうしている間にもゼロがピンチに陥っているかもしれないのだ。 何でもいいから早く駆けつけないと―― 「おい、誰か来るぞ!」 だがその焦りは立ち直ったメカ沢の声に遮られることとなった。 緊張を含んだメカ沢の声に、彼の視線を追って3人は南方に目を向ける。 そこにいたのは高速でこちらに向かってくるボードで中空を滑る隻腕の少女。 ロボとメカ沢は警戒の色を見せるが、ノーヴェはその姿を確認し、目を見開く。 彼女の姉妹の持つ特殊武器・ランディングボードに乗って短い髪をなびかせるのは見覚えのある蒼い髪。 それはかつての仇敵であり、もう一つの“姉妹”でもある彼女の姿。 そしてこの場所で初めて会えた顔なじみであった。 「スバル!」 「ノーヴェ!?」 ノーヴェの姿を認めたスバルは器用にボードを操ると、急停止。 スバルは顔をほころばせながら、地上に降り立った。 「良かった無事だったんだねノーヴェ。心配したんだよ!」 「べ、別に心配なんかされる覚えは無い!」 照れくさくて思わず口を突いて出た悪態に軽い自己嫌悪に陥るノーヴェ。 だがスバルは笑って許す。 ああ、いつものスバルだ。 チンク姉が自分をいらないなんて言ったのはきっと何かの間違いなのだ。 ……と、そこまで考えて初めてノーヴェはスバルの右腕が無いことに意識が向き、目を見開く。 「!? お前、その腕いったい……」 「大丈夫。ノーヴェは何も心配しなくていいんだ。だから――」 自分を安心させようと微笑むその笑顔は自分の知る少女のものだ。 だが、 「下がってて。今、こいつらを片付けるから」 そう言い放った少女の顔は自分の知らない顔だった。 元々敵同士。そんなに仲が良いわけでもない。 だが、こんな冷たい表情を浮かべる少女では決してなかったはずだ。 「ス、スバル……?」 恐る恐る呼びかけるノーヴェ。 だがスバルはそれに答えず、そのままメカ沢たちの方へと突き進んでいく。 メカ沢もその様子に異常を感じ取ったのか腕を構え、再び警戒の色を濃くする。 「おい、どういうつもりだ?」 「決まってる……お前達を全部、壊す」 そして少女の口から放たれたのは過激すぎる一言だった。 その言葉に誰よりも驚いたのはノーヴェだ。 一瞬聞き間違えたかと思ったほどに、その少女には似合わない言葉だったから。 そうだ、もしかして自分がが襲われていると誤解したんじゃないだろうか? 「だ、大丈夫だって! 確かにちょっと変な格好だけどこいつら悪い奴じゃないし!」 ノーヴェは慌てながらスバルの前に回り込む。 だが自分を見返したスバルの瞳を見て恐怖する。 そこに映っていたのは何処までも広がる虚無の闇。 自分の知るスバル・ナカジマが決して持ち得なかった暗い影。 「ああ、そっか……ノーヴェも本物って保障は無いんだっけ。 だって、ドラス君と一緒にいるんだもんね」 視線に本物の殺意を乗せて、黄金の瞳で睨みつけられる。 黄金の瞳――戦闘機人モード。 それはスバルが本気だと言う事の証に他ならない。 「ス、スバル……どうしたんだよ……」 敵対していた時だって、ここまで冷徹な目を向けられたことはなかった。 恐怖と、そして幾らかの悲しみに自分でも知らない間に後ずさるノーヴェ。 だがそのノーヴェを庇うようにメカ沢のドラム缶のような体が割ってはいる。 一層強い視線で睨みつられるが、メカ沢とていっぱしのワルだ。ガンの付け合いなら負けたことは無い。 「オイ、“壊す”だと!? テメェ、人の命を何だと思っていやがる!」 「人命は大切だよ? だから偽者は倒さなきゃならないじゃないか!」 ――ダメだ、話が通じねえ。完全に頭に血が上ってやがる。 メカ沢の辞書に敗走という文字は無い。 本来ならここで一発ヤキを入れて、目の前の少女の目を覚まさせてやるのが常道だ。 だが、ここで自分が無闇に突っ込んで、ノーヴェやドラスに何かがあれば後悔しきれるものではない。 故にメカ沢は歯噛みし、苦渋の決断を下す。 「ちっ……一度引くぞ!」 「で、でもゼロが!」 チンクも救う、ゼロも救う。その覚悟が逆にノーヴェの足を止める。 それにおかしくなってしまったスバルをそのままにしておくことに対しても未練が残る。 だが迷うノーヴェの瞳をメカ沢のが真正面から覗き込んだ。 「おい、アイツは……ゼロは弱い野郎か!?」 「――違う!」 信じられない出来事の連続に迷い、戸惑うノーヴェ。 だがその答えだけは迷うことなく、即座に口を突いて出た。 仮面の怪人との激闘を間近で見た自分は知っている。 ゼロの強さを。どんな逆境でも諦めないその強さを。 「だったら信じろ! 奴は死なねえ、生きて絶対に再会するって信じるんだ!」 「負けない……生きて……再会……」 ノーヴェは自分に言い聞かせるように繰り返す。 その言葉は希望となって、ノーヴェの心を強くする。 だが、その刹那の隙を狙って蒼い弾丸となったスバルが踏み込んでくる。 その踏み込みの疾さにその場の誰もが反応できなかった。 いや、たった一人だけ狙われたメカ沢だけが反応することが出来た。 だがメカ沢ができたのは精々誰かを守ること。つまりノーヴェを突き飛ばすだけで精一杯だった。 そして拳の進む先にはメカ沢の無防備な体だけが残された。 ――やべえ。 背筋に冷や汗が流れる。 喧嘩に明け暮れてきた日々が、眼前に迫る拳のヤバさを知らせている。 タフさには人一倍自信があるつもりだが、あの一撃はケタが違う。まさに必殺の一撃だと悟る。 だがメカ沢の辞書に“諦め”の2文字は無い。 ハカイダーとの戦いで分かっている。 自分みたいに“ケンカ慣れしている”程度、この場所では何のメリットにもなりはしないのだ。 だが、だからといって自分を曲げることなど出来はしない。 なんといっても自分は不良なのだ。そして不良には通すべき“スジ”ってものがある。 例え自分が無力な存在としても腹の底から声を張り上げ、想いを、生き様を叩きつけてやる! 「不良を……なめんじゃねえええええっ!!」 だが、その時不思議なことが起った。 先ほどまで唸りを上げ迫っていた拳が空中に縫い付けられたように停止している。 それどころかロボも、ノーヴェも、ドラスも、まるで時が本当に止まっているかのようにすべてが静止していた。 ――どこかで聞いたことがある。 一流のスポーツ選手は150kmを超えるボールがとまって見える時がある、と。 脳内のアドレナリンだかなんだかが関係しているらしいが学の無い彼にはわからない。 それにそんなことはどうでもいいことだ。今の彼にとって重要なのは目の前に決定的な隙が出来たということ! 「う、おおおおおおおおおおおお!!!」 千載一遇のチャンスにありったけの力を込めて右腕を振るう。 想いのこもった重く、深いその一撃は唸りを上げてスバルの腹部へと叩き込まれる。 カウンターを喰らった形になったスバルの体は、あまりにも軽く、工場の瓦礫の中へ突っ込んでいった。 「へっ……ざまあ見やがれ……おい、ノーヴェ、大丈夫か?」 突き飛ばしたノーヴェの方を見る。 だがノーヴェは狐につままれたような表情でメカ沢を見ている。 周囲を見渡せばドラスも似たような表情だし、ロボからも驚きの感情が見て取れる。 「お、おまえ……今、瞬間移動しなかったか?」 「は? 何言ってやがる。夢でも見たか? っと、それよりも今のうちにズラかるぞ、ロボ、嬢ちゃん!」 言うや否やタンクローリーに乗り込んだメカ沢はギアを切り替えると、工場に突っ込んだ先頭部分を道路に引き戻し、 。 「みんな、乗れ!」 「……了解デス」 「嬢ちゃん? 僕、男の子だよ?」 「お、そりゃわりぃわりぃ。……と全員乗り込んだな! しっかり捕まってろ、とばすぞ!」 平たい足がアクセルを乱暴に踏み込み、激しく揺れながらもタンクローリーは発進する。 その車体の中で4人はそれぞれ思考する。 ――ロボは遭遇時のメモリーを呼び覚ます。 ドラスに対して何故、こうも警戒しているのか……実はロボ自身も良くわかってはいない。 だがドラスにノーヴェが触れた瞬間、上手く言語化できない感覚がロボの中から湧き上がってきたのだ。 ロボはクロノたちと共に古代から未来まで多くの時間を旅してきた。 平行世界といっても差し支えないほど変貌した幾多の世界を。 その多彩な経験はどんなセンサーよりも雄弁に危機を伝えた。 あえて言語化するならば人間が悪寒と言うべき感覚を持って。 (気のせいならばいいのデスが……) だが子孫や兄弟ならともかく、ノーヴェの姉とここまで似ているのは不自然だ。 さらにスバルという少女の言葉の意味を考えるに、変貌にこの隣の少年は関わっているのではないだろうか?という疑念が生まれる。 だがその不審を口にすればノーヴェたちに動揺を与えてしまうかもしれない。 だから気付かれぬよう、隣に座る少年に注意を向ける。 ――ドラスは心の中で舌打ちする。 隣に座るこのポンコツは案外優秀なセンサーを積んでいるみたいだ。 取り込んでもおいしくなさそうだし、隙を見て壊さないとね。 だけどそれ以外の2人には利用価値がある。 スバルお姉ちゃんが魔法という力を持っていたみたいに、このノーヴェお姉ちゃんも何かの力を持っている可能性は高い。 それに目の前で運転する不細工なロボットも瞬間移動をしていた。 瞬間移動……あのZOでさえ持ち得なかった力。 それを手に入れれば僕は神の座に近づくことが出来る。 かくて一人の科学者の狂気が作り出したネオ生命体は哂う。 より神に捧げられた供物に舌なめずりをしながら。 彼にとって、世界の全ては贄でしかないのだから。 ――ノーヴェは変わり果てたスバルの姿に動揺していた。 スバル自身の変貌も勿論気になるが、ノーヴェの脳裏に浮かんだのはこちらを冷たい表情でみるチンクの姿。 馬鹿な考えだと分かっていてもその想像はとんでもない恐怖を呼び起こした。 「おい、また馬鹿なこと考えてるんじゃねえだろうな」 隣に座るドラム缶は視線を前に固定したまま、こちらの心を見透かすような一言を投げかけてくる。 「べ、別に馬鹿なことなんて考えてない!」 「こうなったら2人も3人も同じだろうが! あのスバルって女も救うって決めて見せろ!」 「分かってる! そうだ、チンク姉も、ゼロも、スバルもあたしが救う! 助けてみせる!」 大言壮語だ。それを為すにはノーヴェの力はあまりにも小さい。 だけどやらなきゃいけない。彼らの力を借りて。 (チンク姉……ゼロ……) 今にも消えそうな勇気を、ここにはいない2人の姿を思い起こすことで奮い立たせる。 そしてスバル以外にも今のノーヴェには守るべきものがある。 ミラー越しに見えるのは失った姉に似た少年の姿がある。 (今度こそ、守って、見せる……!) もう二度と失わないためにノーヴェは決意を新たにする。 その対象が悪魔だと気付かぬままに。 ――メカ沢はハンドルを握りながら、横目でノーヴェの顔を見る。 その顔に浮かぶ決意の色を見て表情には出さずに笑う。 (へっ……いい顔になってきたじゃねえか) それにこの世界だって捨てたものじゃない。 念じればさっきみたいな奇跡は起きるのだ。 ……彼は知らない。 それは奇跡などではなく、飲み込んだチップが発動しただけだということに。 (彼の用いた運用方法からすれば、それは十分奇跡と呼べるのかもしれないが) ともあれ、タンクローリーの運転にも慣れてきた。 ここはあのゼロって奴の強さを信じて、少し時間を置いてから助けに行くべきだ。 そうすれば6人の大所帯。仲間がコレだけ集まれば反抗の狼煙を上げることも可能な気がしてくる。 その想像にメカ沢は心躍らせる。 (待ってやがれシグマ……今に俺が、俺たちがヤキいれてやるぜ!) 誰よりも無機質な表情でありながら、その心は誰よりも熱く燃えていた。 4人を乗せてタンクローリーは走る。 4つの心はバラバラなままで、疑心と悪意と決意をないまぜにして。 そして最初の放送まであと、わずか―― 【D-1 コロニー間道路/早朝(放送直前)】 【ノーヴェ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】 [状態]:疲労(中)、精神的動揺(弱) [装備]:スタームルガー レッドホーク、装弾数4/6@ターミネーター2 [道具]:支給品一式、不明支給品0~1(未確認) [思考・状況] 基本:チンク姉と会って話しをする 1:ドラスを守る! チンク姉を救う! ゼロを助ける! スバルを救う! 全部達成する! 2:メカ沢、ロボを信頼。 ※本編終了後の参戦です。 ※ゼロからゼロの世界及びシグマに関する知識を得ました ※メカ沢の力を瞬間移動と誤解しています。 【メカ沢新一@魁!クロマティ高校】 [状態]:全身打撲。疲労小 [装備]:タイムストッパー@ロックマン2in体内 [道具]: [思考・状況] 基本思考:シグマにヤキ入れる! 1:とりあえず離れて作戦会議だ! 2:ゼロとか言うキザな金髪男を助けに行く 3:チンクに軽い失望。だが、正気に戻させる! [備考] ※携帯端末の使い方を全く理解していません。よって現在位置、参加者、支給品を把握していません ※メカ沢の携帯端末が修理工場内のどこかに落ちています。 ※タイムストッパーは使用できるようです。 ただし本人は使えることに気付いていません。 【ロボ@クロノトリガー】 [状態]:健康 [装備]:液体窒素入りのタンクローリー@ターミネーター2 [道具]:支給品一式、PDA×3(ロボ、アラレ、シュトロハイム)、ぎんのいし@クロノトリガー HARLEY-DAVIDSON:FAT BOY@ターミネーター2(E-3道路に放置):ロボのPDA はちゅねミクのネギ@VOCALOID2(E-3道路に放置) メッセージ大砲@ドラえもん(E-3道路に放置)、アタッチメント@仮面ライダーSPIRITS(シュトロハイムの右腕) 拡声器@現実(E-3道路に放置):アラレ、及びシュトロハイムのPDA。転送可能 [思考・状況] 基本思考:打倒シグマ。 1:ドラスを警戒 2:メカ沢と共に行く 3:協力できればストライクスピンが撃てるかも…… [備考] ※少なくともクロノ復活以降からの参戦です。 ※現在位置、参加者名簿を確認しましたがメカ沢も把握済みだと思い伝えていません。 ※メカ沢が携帯端末を失くしたことを知りません。 ※ロックマンの武器チップの使い方を誤認しています。 ※メカ沢の力を瞬間移動と誤解しています。 【ドラス@仮面ライダーZO】 [状態]:健康 右腕がスバルのもの。 [装備]:荷電磁ナイフ@マルドゥックスクランブル。ラトゥーニのゴスロリ服@スーパーロボット大戦OG。 セインを四、五歳幼くした状態に擬態。ただし、生えている(両方ついているかは、お任せします) [道具]:支給品一式 [思考・状況] 基本思考:自爆装置とリミッターを外す。その後参加者を全員殺す。優勝したあとシグマも殺す。 1:怪しまれずにロボを排除する 2:ノーヴェ、メカ沢を利用尽くす。 3:T-800の排除。悪評を広める。 4:仮面ライダーとおよぼしき参加者の排除、もしくは吸収。 5:自爆装置、リミッターの解除。 ※メカ沢の力を瞬間移動と誤解しています。 スバルが目を覚ました時、タンクローリーはすでに視界から消え去っていた。 立ち上がろうとする、がたまりに溜まった疲労は休養を訴える。 暗闇の中で彼女の脳裏に甦るのは彼女を“こう”してしまった出来事。 たった数時間前にあった、ある出来事を。 * * 雪原の中を一人の少女が行く。 だがそのシルエットには何かが足りない。 そう、右腕である。 超磁圧ナイフで切り取られた右肩は血の一滴も見せず赤黒い傷口を晒している。 ドラスに裏切られた直後、スバルはビルから全力で逃げ出していた。 何故ボイルドが周囲にいるという危険性を無視してまで飛び出したのか、それは彼女にも分からない。 ただ無我夢中で走り出して、気付いたら周囲に広がっていたのは雪原だった。 そう、いつの間にかスバルは最初に自分が飛ばされたコロニーまで移動していたのだ。 そこはマップで言う【D-3】ブロック、雪原コロニーの町の端だった。 町外れから見る人気の無い建物の群れは雪に包まれ、沈黙を保っている。 雪に包まれた世界に戻ってきて、最初に出会った筋骨隆々の男を思い出す。 ボブという男の言うとおり、ドラスは裏切った。 だがスバルは心のどこかでドラスをまだ信じたいと言う気持ちが残っていた。 (そう、だって“殺したいわけじゃない”って言ってたし……) 絶望の中に希望を見出す。 本来なら美点であるそれも狡猾な悪魔にとっては格好の餌でしかない。 そして疑心暗鬼という悪魔は だから聞こえてきた雪を踏みしめる足音に、反射的に物影に身を隠してしまう。 物影から足音の主を伺えば、そこにいたのは緑色の髪の少女。 あれがドラスが姿を変えたモノでないという保証は無い。 そう疑うと少女の姿がどうしようもなく恐ろしいものに見えてくる。 だがスバルは自分に言い聞かせる。人を信じなくて何になるのか、と。 これまで培ってきた世界が、15年間の人生が彼女の勇気を後押しする。 「す、すみませ「ははわわわわわわわ!?」 物陰からいきなり出てきたスバルに驚いたのか、 少女はしりもちをついたままで、こちらを見上げている。 「え、あ、あの……驚かせてしまったのならごめんなさい! 私は時空管理局局員のスバル・ナカジマといいます!」 慌てていつもの癖で自己紹介してしまった自分を恥じる。 時空管理局なんて単語は管理世界の人には分からない人たちもいるというのに。 「あ、はい! わざわざありがとうございます! こちらこそはじめまして。HMX-12マルチと申します!」 だが少女は向日葵のような笑顔で挨拶を行い、釣られるようにスバルの顔にも笑みが戻る。 と、そこで気付く。マルチの服が大きく破けてしまっていることに。 マルチはスバルの視線の先に気付き、照れくさそうな笑みを浮かべる。 「服が破けてしまって、代わり服を探しているんです。 町をず~っと見てきたんですけど、無いんですよね……。 でも良かったです。ちょうど服が見つかって!」 その言葉につられるようにマルチの視線の先を追うが、そこは自分の背後。 そこに広がるのは一面の銀世界。 「あの、どこに――?」 聞き返そうと振り向いた瞬間、スバルの視界を覆ったのは銀色の板。 そう、マルチは笑顔のままで、ランディングボードを思いっきり振り下ろしのだ。 「――がっ!?」 マルチが女子高生並みのパワーしか持たないとはいえ、無防備な状態でそれを受け、一瞬意識が飛びかける。 頭から流れる血を押さえて、数歩下がったスバルが見たのは先ほどと変わらぬ笑顔で、再び凶器を振り上げるマルチの姿。 「これだけだと寒いのでスバルさんの服をもらいますね~」 再び振り下ろされる合金板を地べたを転がるようにして回避するスバル。 ここで冷静に対処していれば、片腕だけとはいえ武装局員であるスバルがマルチを取り押さえるのは造作も無いことであっただろう。 だがドラスが植えつけた悪意の種は芽吹き、スバルの心を蝕んだ。 恐怖という名のレンズは自身より小柄なマルチを悪魔の如く歪んで映していたのだ。 「う……あ……あああああああああああああああああっ!!」 その結果、スバルは逃亡した。 恥も外聞も関係なく、こけそうになりながらも目の前の少女から一歩でも遠く離れようともがいた。 「はわわ、逃げないでくださいよ~」 声が後ろの方へ消えていく。 元々運動性能の違いだ。本気で走ったスバルにマルチが追いつける道理などあるはずが無い。 目の前に昆虫の複眼を持った異形が現れなければ。 目の前の存在に助けを求めるのか。それとも後ろから迫る少女に対しての注意を促すか。 疑心暗鬼に囚われたスバルは、たったそれだけのことができないかった。 それに目の前の怪人はドラスの話していた仮面ライダーに酷似しているのも原因の一つであった。 心のどこかでまだあの少年を信じていたいと願った心が、スバルから即座に行動すると言う選択肢を奪う。 そしてその結果、鋭い右フックがスバルの腹に突き刺さった。 「か……はっ……!?」 その運動エネルギーはスバルの人工心肺から無理やり息を搾り出すだけでは止まらず、 吹き飛ばされ、雪原へと投げ出される。 ストロンガーの姿を模したT-1000は冷徹に任務を遂行する。 ナタクの時と同様、シグマウィルスを仕込もうと右腕を巨大な注射針へと変貌させ、スバルに迫る。 「逃げるなんて酷いですよ~」 そこに物音を聞きつけたマルチも追いついた。 シグマウィルスに操られた彼女はT-1000に見向きもせず、ライディングボードを構えてスバルのほうへと向かってくる。 その光景にスバルは恐怖した。 戦いの恐怖とは違う、周囲の人間を信じれなくなる恐怖。 それはスバルが初めて感じる種類の恐怖だった。 何故ならば彼女の傍にいたのは信頼と言う絆で繋がった仲間たちだったのだから。 その恐怖は見えない鎖となって、スバルの動きを封じた。 そして繋がれた囚人に2つの処刑鎌が迫り、振り上げられた。 「い……やああああああああああああっ!!」 その結果、彼女は無意識のうちに力を解放した。 力の名は“振動破砕”。接触した機械に震動を叩き込み破砕する彼女の先天系特殊技能。 彼女の優しさ故に振るわれる事が殆ど無い、だが機械機構を持つものたちにとって最も恐るべき力の一つ。 突き出された左腕から暴虐の力は2体の体へと叩き込まれる。 唯のメイドロボであるマルチはプロテクションなど特殊な技能を持たない。 いや、むしろ“どんくさい”部類に入る彼女は、防御体勢を取ることすら不可能であった。 故に結果、粉々に破砕された。部品を撒き散らしながら。 断末魔も、最後の言葉すら残すことなく心優しいメイドロボは砕け散った。 そしてその一撃は攻撃の瞬間に移るところであったT-1000も直撃した。 震動は衝撃波を生み、T-1000を粉々に破砕し、水銀にも似た液体を雪原に散らばらせた。 雪原に散らばる瓦礫と銀の飴。 その光景はスバルの心に一つの闇をもたらした。 飛び散ったのは電子部品と液体金属の塊たち。 その中には生体パーツなど一片も含まれてはいなかった。 故に、スバル・ナカジマはその思い付きを肯定した。 目に映るのは訓練で、任務で散々壊してきた目標と同じ。 多少形が違うだけで、ガジェットドローンなどと同じただの機械なのだ、と。 その思い違いは正義感を歪ませ、目に映る全てを悪魔へと変貌させた。 「そうか、そうだったんだ……」 ぶつぶつと呟きながら、幽鬼のような足取りで走ってきた道を戻っていく。 その手にマルチが振りかざしていたランディングボードを抱えたままで。 * * 「だから……全部壊すんだ」 誰に聞かせるでも無い呟きと共に意識を取り戻したスバルは、立ち上がりながらこれからの行動を思案する。 まだ周囲にいるであろうタチコマから破壊すべきか? いや何よりも誰よりも――ドラスを放っておくわけにはいかない。 まだそんなに離れていないであろうタンクローリーに向かい、追跡を開始しようとする。 だが、そんな彼女の前に、 「おい、お前、大丈夫か!?」 新たな標的が現れた。 時系列順で読む Back そいつは人情派サイボーグ Next 運命交差点(後編) 投下順で読む Back そいつは人情派サイボーグ Next 運命交差点(後編) 059 漆黒と紅の零地点(後半) ノーヴェ 075 D-1どうでしょう 059 漆黒と紅の零地点(後半) メカ沢新一 075 D-1どうでしょう 059 漆黒と紅の零地点(後半) ロボ 075 D-1どうでしょう 059 漆黒と紅の零地点(後半) ドラス 075 D-1どうでしょう 059 漆黒と紅の零地点(後半) ゼロ 068 運命交差点(後編) 044 DEVIL A/Beginning スバル・ナカジマ 068 運命交差点(後編) 060 強者をめぐる冒険 T-1000 068 運命交差点(後編) 060 強者をめぐる冒険 マルチ -GAME OVER-
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Character Card イレイザー サイボーグ/スキャナー 1/1/1 ▼/シールド/プロテクトE.G.O./チャージ1 No.1460 Rarity C Illustrator 山口恭史 Expansion 遺伝子の力 カード考察
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GM名 鉄鎖 システム名 アルシャードガイア TRPG初心者対応 歓迎 世界観 舞台は現代の地球に非常によく似た世界、“ブルー・スフィア”。PCは神の力を宿したシャードを扱えるクエスターとなり“ブルー・スフィア”を襲ってくる敵“奈落”と戦いながら、自分たちの大事なものたちを守るそんな世界観です。 判定方法 六面体2つを振り、出た出目と能力値などを足して高い方が良い結果となる判定方法です。 シナリオ概要 それは夏休みを舞台にしたある生徒たちの物語。 瑞珠学園軽音楽同好会、たった5人の同好会は夏休みの終わりにあるロックコンテストを目指す。 優勝すれば、メジャーデビューも夢ではない。 そんな夢に向けて若者たちはバイトに、練習に、恋に精を出す。しかし、そんな若者たちに取り巻く怪しげな影。 奈落の手先スペクターが奇跡の歌声をもつ少女をつけ狙う。クエスターよ、少女を守り、コンテストに優勝するのだ!アルシャードガイア「ある夏の歌」蒼き星にまた奇跡が生まれる。※なお、シナリオ内容は予告もなしに変更する場合があります(笑) PC作成方法 作成済みのクイックスタートを使用。PC1:勇者候補生、PC2:神速の弾き手 PC3:力の執行者、PC4:奈落を狩るもの PC5:ガイアの巫女 こんな人におすすめ 学生生活を満喫した人にお勧め? GMから一言 今回は夏ということで、夏休みをエンジョイ&エキサイティングする学生たちを中心に持ってきた話を作ってみました。 お金はないけど、時間があっていろいろやった。そんな夏休みをまた楽しみたい。そんな人をお待ちしております。 楽しい夏休みにしましょう。
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今日 - 合計 - ヴァンパイア セイヴァー EXエディションの攻略ページ 対戦 格闘ゲーム 目次 基本情報 [部分編集] ストーリー [部分編集] 攻略情報 [部分編集] Tips [部分編集] プチ情報 [部分編集] 関連動画 [部分編集] 参考文献、参考サイト [部分編集] 感想・レビュー 基本情報 [部分編集] ストーリー [部分編集] 攻略情報 [部分編集] Tips [部分編集] プチ情報 [部分編集] 関連動画 [部分編集] 参考文献、参考サイト [部分編集] 感想・レビュー 名前 コメント 選択肢 投票 役に立った (0) 2015年05月15日 (金) 10時31分42秒 [部分編集] ページごとのメニューの編集はこちらの部分編集から行ってください [部分編集] 編集に関して
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バトルロワイアル終了までの死亡者 時間 名前 殺害者 死亡作品 死因 凶器 黎明 フランシーヌ人形 ゼロ 149 血塗れの指先1 失血死 カーネルのセイバー 黎明 ハカイダー ゼロ 149 血塗れの指先3 動力炉破壊 カーネルのセイバー 黎明 スバル・ナカジマ スバル・ナカジマ 150 呼びたかった名前 頭部破壊 振動拳 早朝 シグマ メガトロン 154 オール反BR派 対 大デストロン (0) ダメージ蓄積 蹴撃 早朝 ミー T-X 154 オール反BR派 対 大デストロン (2) 焼死 T-X内蔵の火炎放射器 朝 トーマス・ライト コロンビーヌ 154 オール反BR派 対 大デストロン (3) 失血死、あるいは圧死 開天珠の爆破、それにより降り注いだ瓦礫 朝 ドラス / 155 鏡(後編) コア破壊 降り注いだ瓦礫 朝 コロンビーヌ / 155 鏡(後編) 圧死 降り注いだ瓦礫 朝 広川武美 メガトロン 156 最終回(2) 脳死 メガトロンのウィルス 朝 ウフコック・ペンティーノ T-800 156 最終回(2) 刺殺 T-800の投擲した電磁ナイフ 朝 本郷猛 / 156 最終回(2) 爆殺 コロニーの爆発に巻き込まれる 朝 T-800 ソルティ・レヴァント 156 最終回(3) 撲殺&爆殺 ソルティの振動拳&機関部の爆発 朝 ソルティ・レヴァント / 156 最終回(3) 爆殺 機関部の爆発 朝 イーグリード メガトロン 156 最終回(4) 撲殺 メガトロンの爪や拳 朝 メガトロン / 156 最終回(4) 生死不明 ブラックホール 朝 ゼロ / 156 最終回(4) 機能停止 黒ゼロ化による代償 最後の言葉 名前 最後の言葉 フランシーヌ人形 「本郷……後を……お願い…………します……」 ハカイダー 「キカイ……イダー……。……カイダー」 スバル・ナカジマ 「ボブさん、今までありがとうございました…………ごめんなさい」 シグマ 「貴様らが、それに触れるなァァーーーッ!!」 ミー 「気にしないでよ、本郷さん。僕は……自分の為すべきことをしただけ、なんだからさ」 トーマス・ライト 「エック、ス……」 ドラス 「ちょっと、だけ…………」 コロンビーヌ 「もう、すぐ…………」 広川武美 「そうなんだ。ありがとう、クロちゃん」 ウフコック・ペンティーノ 「俺の有用性を託した相手がいる。だから大丈夫だ」 本郷猛 (一文字……後は任せた) T-800 「キサマが勝利者として君臨したいなら、俺を避けるなどと考えるな」 ソルティ・レヴァント 不明(本人すらも知らない) イーグリード 「分かっている……ただ……俺も…………皆が夢見た……懐かしい未来へ……」 メガトロン 「夢物語だ。だがお前は俺様を殺せず、俺様が生き残る可能性に怯えるしかない! お前は死ぬというのにな! ハッハッハッハ!聞いて震えろ! 俺様は大デストロンの破壊大帝メガトロン! お前さんたち正義の味方が手の届かない存在だ!」 ゼロ 「だけど、ありがとう。あの星の未来を守ってくれて」 殺害数 順位 該当者 人数 このキャラに殺された人 生存状況 スタンス 1位 エックス 5人 KOS-MOS、R・田中一郎、ルーン・バロット、クロ、チンク 死亡 対主催→ 戦っているもの限定→ 戦うもの全て 2位T ゼロ 4人 T-1000、エックス、フランシーヌ人形、ハカイダー 機能停止 対主催→ 暴走→ 対主催 2位T コロンビーヌ 4人 セリオ、009(島村ジョー)、絡繰茶々丸、トーマス・ライト 死亡 無差別→ 危険対主催 2位T メガトロン 4人 アルレッキーノ、シグマ、広川武美、イーグリード 生死不明 無差別→ 危険対主催 5位T 009(島村ジョー) 3人 R・ドロシー・ウェインライト、ドラ・ザ・キッド、パンタローネ 死亡 対主催 5位T スバル・ナカジマ 3人 マルチ、ギンガ・ナカジマ、スバル・ナカジマ 死亡 対主催→ 無差別→ マーダーキラー 7位T ギンガ・ナカジマ 2人 王ドラ、ゲジヒト 死亡 無差別→ 洗脳解除 7位T 神敬介 2人 メカ沢新一、城茂 死亡 無差別→ 対主催 7位T ディムズデイル・ボイルド 2人 タチコマ、灰原 死亡 無差別 7位T T-800 2人 獅子王凱、ウフコック・ペンティーノ 死亡 対主催→ ステルスマーダー 11位T ハカイダー 1人 村雨良 死亡 強者限定 11位T ルドル・フォン・シュトロハイム 1人 則巻アラレ 死亡 対主催 11位T 則巻アラレ 1人 ルドル・フォン・シュトロハイム 死亡 無差別 11位T R・田中一郎 1人 初音ミク 死亡 無差別→ 非マーダー 11位T ノーヴェ 1人 ノーヴェ 死亡 対主催 11位T ロボ 1人 ロボ 死亡 対主催 11位T 灰原 1人 ロックマン 死亡 危険対主催 11位T ルーン・バロット 1人 R・田中一郎 死亡 対主催 11位T グレイ・フォックス 1人 草薙素子 戦死 無差別 11位T 風見志郎 1人 ディムズデイル・ボイルド 死亡 対主催 11位T 本郷猛 1人 グレイ・フォックス 死亡 対主催 11位T ミー 1人 グレイ・フォックス 死亡 対主催 11位T ラミア・ラヴレス 1人 ラミア・ラヴレス 死亡 対主催 11位T チンク 1人 神敬介 死亡 対主催 11位T ドラス 1人 ナタク 死亡 ステルスマーダー→対主催 11位T ソルティ・レヴァント 1人 T-800 死亡 対主催
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ARM――腕、或いは兵器 ◆8shu5JAH6I 進行を続けていたナタク、その鼻先には回転し続ける漆黒のゴムバンド。 運搬することが厄介な物品を、上に乗せることで輸送するための機器、“ベルトコンベア”。 仮に東へと歩みを進めようものならば、西へと流れる足場が妨げとなることであろう。 されども、ナタクにとっての障害にはなり得ない。 ベルトコンベアに“触れることなく”、移動する術を持っているのだから。 ナタクが跨るは、純白の毛を靡かせて宙を奔る―――巨大な犬。 百人中百人が生物と断言するであろう風貌をしているが、その犬はしかし人工物。 道士や仙人の能力を膨張させる利器、“宝貝”の一つである“哮天犬 ”。 仙人界でも非常に稀有な“生物宝貝”であり、一朝一夕で活用できる代物ではない。 だがしかし、それを扱うのが、生誕時より三種の特殊な宝貝に身を固めていたナタクであったならば―――、 即座に使いこなそうとて、何ら違和感の生まれるポイントなど存在し得ない。 かくして、ナタクは立ち塞がるベルトコンベアを正面から突破。目的地へと最短距離で、東漸する。 その表情は憮然。何の問題があろう、とでも言いたげな目付きで、ナタクは哮天犬 に身を預けて肩の力を抜いた。 ベルトコンベアの丁度中間地点にて、突如として電子音が響く。 英気を養う為に閉じていた双瞼をナタクは見開き、音源を確認すると其の方には探知機。 またか、と半ば閉口しながらごちるナタク。 現在のナタクにとって最優先は、他者との闘争でも宝貝の入手でもなく、身体の修理。 如何なる内容であろうと、モニターに映し出された情報など必要としていない。 ゾーンD-3へとナタクが侵入した際も、探知機は四の反応を示したが、修理工場への最短ルートを逸れるために向かいはしなかった。 どうせ往くこともない、と思いながらも、白犬の上で暇を持て余すナタク。 所在なげに、哮天犬の尾に括り付けた探知機を手に取る。 投影された二つの光点、互いの距離、極めて近い。 そして、どちらもナタクが行かんとするルートに接触している。 光点が移動しないこと、記された名から、ナタクは反応の主の落命を認知。おそらく共倒れしたのだろう。 武器が戦場に残存することを予期したナタク、最短ルートを外れはしないものの、道中で一度足を止めて物色しようと断を下す。 光点が示す地点へと辿り着いたナタク、哮天犬の高度を戦地を駆ける騎手の視線程度まで下げる。 則巻アラレとルドル・フォン・シュトロハイムの戦闘から六時間程経過しているが、鼻を突く独特の臭気は雲散することなく残骸の周辺に漂っている。 アラレの体内で何度も弾丸が炸裂したことによる、酸化したオイルの人工的なツンとくる悪臭。 んちゃ砲を受けたシュトロハイムのサイボーグ化されていない部位からの、焼け爛れた脂肉の咽返るような異臭。 それ等の立ち込める空間、然れども人間界で周軍の戦を幾度となく見届けたナタクを退けるには、その程度では役者不足。 ナタク、まるで何事もないかのように、哮天犬から残片を見下ろして使用可能な武器を探す。 だが、ナタクの眼鏡にかなう道具は折悪しく検出されなかった。 ネギを模した棒があったにはあったが―――嗚呼、どうしてナタクがそれを是と認めることがあろうか――――――。 無駄な時間を過ごしたと、常日頃以上の仏頂面を露にするナタク、修理工場に向かおうとして気付いた。 全身に裂傷を刻み、火傷を作っていながら、何故かシュトロハイムの体に“傷のない”箇所が実存することに。 それは―――“右腕”。 正体は――――――、結城丈二愛用の“アタッチメント”である。 ナタクはアタッチメントに携わる知識を保有していたわけではないが、知り合いの“太公望”がある時期に義手を使っていたのを知っていた。 ゆえに、ナタクはアタッチメントを義手に類する器物と判断。哮天犬から飛び降り、アタッチメントのIDをPDAに登録した。 アタッチメントの概要が小さな液晶に映し出され、行を追うごとにナタクの頬が緩んでいった。 目を通し終えたナタクは、PDAにアタッチメントを一度戻してから再転送する。 虚空より出現する、黒い手袋を付けた右腕。肘から先は肌色ではなく、無数のケーブルが無色透明のカバーに覆われている。 出現したのは腕だけではない。幾つかのカセットも地面へと落ちていく。 ナタクは掬い取ったアタッチメントを、中途半端に先がない右の上腕へと押し付ける。 何度か力をかける方向を試行錯誤した末、歯車が組み合うような音。 それを聞き取ったナタクは、左手をアタッチメントから離す。アタッチメントは右腕に接合した状態を保ち、落下することはない。 恐る恐る右手で正拳を作ろうとするナタク、意図するままに動くアタッチメント。 ある程度、上下運動を繰り返してから、ナタクは思いっきり右腕を振るう。 さながら“火尖槍”を扱うときのように、力強くだが柔軟な動き。アタッチメントは離れることなく、ナタクの想定する所作を華麗にやり遂げる。 溜息とともに、白い歯を見せるナタク。新しく手に入れた腕の動作は、“太乙真人”に本体の強度を三倍に上げてもらった時と比べても遜色ない。 続いて、ナタクは地面に落ちたカセットを回収して、その内の一つをアタッチメントに挿入。 変形する右腕。緑青のグローブが五本の指に纏わり、その上に繊月じみた鉛が生成される。 近距離武装“パワーアーム”。詳細を知ったナタクは、付近の電柱にパワーアームを打ち据える。 接触と同時に巨大な鈍い音、続いて限りなく小さいが長く続いている砕音、そして―――これまでを優に超越する轟音。 ナタクが電柱を殴りつけたのは、ただの一度。しかしその衝撃は、コンクリート程度に耐え切れるものではなかった。 インパクトの直後は無事であったものの、次第にひびが広がっていき、遂にはくず折れてしまったのである。 成る程、などと呟いて、ナタクは第二のカセットをアタッチメントに装填。 “パワーアーム”の金属部が、黒光りする機関銃へと転換。 遠距離武装“マシンガンアーム”。右腕を倒れた電柱へと伸ばし、左手で引き金を引く。 薬莢を撒き散らしながら、驟雨の如く吐き出されていく弾丸。悉く、電柱を削り取っていく。 元より全体に亀裂が走っていたのもあり、三分と経たず電柱は煤塵となりて空中に消散していった。 かなりの高威力。流石は、結城丈二が改良に改良を重ねてきただけあり、性能は彼がデストロンを相手にしていた時とは比べ物にならない。 新たなる巨悪、BADANの異形共をも一掃するだけの性能が、アタッチメントには存在する。 シグマの課した制限が支給品にまで及んでいるとは知らぬナタクのこと、この威力には思わず大きく首肯―――しなかった。 哮天犬とM.W.S.に新たに手に入れたアタッチメント、そんな高火力な武装を手にしたが、ナタクはまだ足りないと断定する。 “俺は死なん”、かつてナタクが、家族を失った少年に言い放った言葉。 この言葉は、決して調子のいい絵空事ではない。 ナタクは肉体がどれだけ損傷しようと、例え四肢を抉り取られても、修理すれば元に戻るのである。 体内に埋め込まれた核、“霊珠”を破壊されない限りの話ではあるが。 尤も、滅多なことでは霊珠を砕かれることはない。衝撃が及ぶことすら類稀なる事態。 だが、既にナタクは霊珠にダメージを受けている。 チャージアップストロンガーの攻撃は、強度を三倍に上げたはずのナタクの肉体でも耐え切れるものではなかった。 同じく三倍に出力を上げた宝貝を完全装備していたならば、話は別であった。それは確定的。 だが、今は所持していない。強者同士の争闘において、“たられば”など至極意味が欠落した思考でしかない。 さらなる力が必要だが、アタッチメントでは未だ火力が足らない。 ナタク本来の戦闘スタイルを行うために必要な武力には、ほど遠い。 すぐにでももう一度戦いたい城茂を相手にするには、本来の戦法が欠かせないというのに。 歯噛みするナタク、三つ目のカセットを右腕に挿し込む。指を覆っていたカバーが消え、指が細い形状に変形。 修理や救助のため、細かい作業を専門とする“オペレーションアーム”。 しかし、自動で作業を行おうとする様子はない。恐らくは、修理をするだけの頭脳を使い手が持っていなければ、意味を為さないのだろう。 ナタクはカセットを抜き取り、それだけをPDAに戻す。 哮天犬を呼び寄せて、その上に腰を落とす。そのまま上空へと浮かんで、再び東へと進む。 探知機に映っていないが、付近から何者かの“におい”をナタクは感知。だが頓着しないで、哮天犬を東へと疾走させる。 まず目指すべきなのは、修理工場で霊珠のダメージを回復させること。それに変わりは無い。 新たなる腕/兵器を手に入れたナタクは、満足することなく新たな力を求める。 城茂との決闘にはそれが必要であるから、手に入れなければならない。 その果たし合いが来たるはずがないと気付くのは、何時になることか。 ―――全く以って定かではない。この地に、道標は存在しないのだから――――――。 【F-3 南端(上空十メートルほど)/一日目 昼】 【ナタク@封神演義】 [状態]:全身に重度の火傷と軽度の裂傷、霊珠に微弱のダメージ、右腕上腕の半ばから先を喪失、疲労(中) [装備]:哮天犬@封神演義、M.W.S.(ボム残り五発 ビームランチャー エネルギー79%)@ゼノサーガシリーズ 高性能探知機、自分の右腕(哮天犬が咥えています)、アタッチメント@仮面ライダーSPIRITS [道具]:支給品一式、ランダム不明支給品1 [思考・状況] 基本思考:強い敵と戦う。弱者に興味はない。馴れ合うつもりはない。 1:修理工場に向かい、身体の修理(霊珠のダメージを優先)。 2:武器を探す(宝貝優先)。 3:回復を終えたT-1000と城茂とはまた戦いたい。 4:日が暮れる頃にスクラップ工場に向かい、万全の城茂と再戦。そして倒す。 [備考] ※仙界大戦終了後からの参戦。 ※現在、M.W.S.を左腕に、アタッチメントを右腕に装着しています。 ※T-1000の名を知りました。 ※アタッチメントのIDをPDAに登録したことにより、神敬介の持つ則巻アラレのPDAからは、アタッチメントの転送が不可能になりました。 時系列順で読む Back 鬼【イレギュラー】(後編) Next ユガミズム 投下順で読む Back 鬼【イレギュラー】(後編) Next ユガミズム 094 Wake Up . The ヒーロー その2 ナタク 114 大切なものを喪う悲しみ(中編)
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Break Card イレイザー 2F/1C サイボーグ 3/5/3 ブースト1 「先行するッ! 後詰は任せたッ!」 No.0190 Rarity C Illustrator KEG Expansion 逆襲の巨蟹宮 カード考察